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酒の肴に野球の記録BACK NUMBER
〈5勝0敗、防御率1.08の衝撃〉カブス今永昇太30歳のフォーシームは「最強級の変化球」では…山本由伸の強みと一味違う「とんでもない緩急」
text by
広尾晃Kou Hiroo
photograph byMichael Reaves/Getty Images,Nanae Suzuki
posted2024/05/13 17:00
メジャー序盤戦を素晴らしい成績で発進した今永昇太。そのピッチングは山本由伸のスタッツと比べると、どんな違う持ち味がある?
山本由伸は直近の5月7日のマーリンズ戦では、1番手捕手のウィル・スミスと組んで8回自責点2で4勝目を挙げた。
これまでは、控え捕手のオースティン・バーンズと組んだ時しか勝てていなかったから、これはチームにとっても大きな収穫だろう。
山本由伸の捕手別の投手成績はこのようになる。
・スミス
5試1勝1敗25回22安5本27振3球 率4.68
・バーンズ
3試3勝0敗17回12安0本20振5球 率0.00
スミスで勝てたのは大きいが、スミスと組んだ場合の山本は5被本塁打。強気で性急な配球が、一発を呼んでいる可能性がある。「安全運転」のバーンズの方が依然、数字はずば抜けてよい。
実は今永昇太も36歳のベテランのヤン・ゴームズと2年目の25歳、ミゲル・アマヤという2人が受けている。
・アマヤ
5試3勝0敗29回22安2本29振5球 率0.93
・ゴームズ
2試2勝0敗12回7安1本14振0球 率1.50
大きな差はついていないが、ここ3試合はアマヤが受けている。
アマヤもゴームズも打者としては、ウィル・スミスのように中軸打者ではなく、ともに下位を打つ選手なので、起用の融通が利きやすいのだろう。
2人とも今後重要になるのは「被本塁打」か
山本由伸、今永昇太ともに、今後重要になって来るのは「被本塁打」か。
きっちりと相手を抑えていても、一発によって一瞬で戦況が変わることがある。山本、今永ともに100マイル(約161km/h)の剛速球はない。被弾によって防御率を悪化させるのは、ある程度仕方がないところではあるが、これをどこまで減らすことができるかがカギとなりそうだ。
長いMLBのペナントレースを無事戦い抜くことができれば、両投手とも好成績を上げていることだろう。故障なく乗り切ってほしい。
そして打者の方を見ると、大谷翔平の打棒が新天地でも猛威を振るっているが――DLで一時戦線離脱したとはいえ、鈴木誠也の「打球速度」も明らかに進化を果たしているのだ。
<つづきは第2回>