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〈5勝0敗、防御率1.08の衝撃〉カブス今永昇太30歳のフォーシームは「最強級の変化球」では…山本由伸の強みと一味違う「とんでもない緩急」 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byMichael Reaves/Getty Images,Nanae Suzuki

posted2024/05/13 17:00

〈5勝0敗、防御率1.08の衝撃〉カブス今永昇太30歳のフォーシームは「最強級の変化球」では…山本由伸の強みと一味違う「とんでもない緩急」<Number Web> photograph by Michael Reaves/Getty Images,Nanae Suzuki

メジャー序盤戦を素晴らしい成績で発進した今永昇太。そのピッチングは山本由伸のスタッツと比べると、どんな違う持ち味がある?

山本 全投球数=669(100%)
143.0km/h S457(68.3%)SW95(14.2%)
フォーシーム 260(38.9%)
153.4km/h S185(71.2%)SW26(10.0%)
スプリッター 187(28.0%)
143.7km/h S110(58.8%)SW37(19.8%)
カーブ 171(25.6%)
125.8km/h S130(76.0%) SW26 (15.2%)
カットボール 46(6.9%)
146.5km/h S29(63.0%)SW5(10.9%)
スライダー 5(0.7%)
136.9km/h S3(60.0%)SW1(20.0%)

 山本のフォーシームの平均球速は153.4km/h、これはMLBの先発投手の平均を上回る。しかもストライク率は71.2%。質の高いフォーシームが山本の投球の基本なのは間違いがない。

 2戦目以降、カットボールではなくカーブを多投するようになったが、フォーシームとの球速差は約27.6km/h。これが「緩急」を付ける効果となって、ここから立ち直ったと言える。カーブのストライク率は76%と極めて高い。大きな弧を描きつつもストライクゾーンに収まる精度の高さが身上だ。これに、小さな変化のスプリッターで全投球の92%を占める。最近はスライダーも投げ始めたが、フォーシーム、カーブ、スプリッターの3つの球種で組み立てる配球だ。

今永 全投球数=594(100%)
141.6km/h S402(67.8%)SW98(16.5%)
フォーシーム 344(58.0%)
148.1km/h S248(72.1%)SW41(11.9%)
スプリッター 179(30.2%)
134.1km/h S113(63.1%)SW50(27.9%)
スイーパー 45(7.6%)
132.5km/h S29(64.4%)SW7(15.6%)
カーブ 21(3.5%)
117.7km/h S11(52.4%) SW0 (0.0%)
シンカー 1(0.2%)
141.0km/h S0(0.0%)SW0(0.0%)
チェンジアップ 1(0.2%)
141.0km/h S0(0.0%)SW0(0.0%)

 今永のフォーシームは平均で148.1km/h、山本よりも5km/h以上遅い。NPBでも、もっと速い投手はたくさんいる。今永はこのフォーシームを6割近くも投げている。ストライク率は72.1%、この数字だけを見れば、今永は「速球で押す本格派」みたいになっている。

なぜ今永のフォーシームは「とんでもない」のか

 しかし、今永のフォーシームを子細に見ると、この球がとんでもないものであることがわかる。

 普通の投手は、同じ球種の場合、それほど球速にばらつきがないのが一般的だ。

【次ページ】 なぜ今永のフォーシームは「とんでもない」のか

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