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オリンピックPRESSBACK NUMBER
ソフトボール・上野由岐子「もちろん年齢は感じます」“40代女性アスリートとして”左膝手術を乗り越えてクローザー挑戦のいま「神様がまだやめるなと」
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/05/10 11:05
7月には42歳となる上野。ソフトボール界のレジェンドはまだまだ輝き続ける
――ご自身と同じ40代のアスリートで気になる選手はいますか?
「プロ野球には40代で投げているピッチャーが何人もいらっしゃるので、どういうピッチングスタイルの選手がプロの世界で生き残っていけるのかというのは、気になることがあります。例えば、ソフトバンクの和田毅投手や、ヤクルトの石川雅規投手。長く続けられるのには理由があると思うので、投球スタイルや、普段どういう感覚で投げているのか、どういう練習をしているのか、オフシーズンはどういうことをしているのか、そういうことは分かる範囲で気にしてみています」
――和田投手も石川投手も左投げの技巧派ですが、見て気づいて取り入れたことは何かありますか?
「私はどちらかというとパワーピッチャー。技巧派とは言えないのですが、いつでもそういうスタイルへ転換していけるようにという考えはあります。ストレートだけにこだわらない投球術へ上手に切り替えていかなければいけないのかなとも感じますし、自分の売りである速いストレートを投げられるということも活かしながら、いかに技巧派に転向していけるか。真似をするわけではないですが、『上野由岐子』という自分らしいピッチングスタイルを続けられるように、どんどん自分も変化していかなければいけないということは、和田投手や石川投手を見ていて考えさせられる時はあります」
「自分の心を満たしながら」
――24年間、パワー型でずっとやってこられたというのは奇跡的な感じすらします。
「自分も自分の欲を満たすために練習しているし、年を重ねてももっとうまくなりたいとか、もっとこういうボール投げてみたいとか、そういう気持ちは薄れていません。ただただ自分の心を満たしながらソフトボールに取り組んでいるって感じです」
――投球ばかりが話題になりますが、上野投手はフィールディングの名手でもあります。守備面も若い頃と同じような感覚でできているのでしょうか?
「もう、バント処理はだいぶん周りに任せている気持ちのほうが大きくなってます(笑)。ただ、昔からバッティング練習よりも守備練習のほうが好きだったんですよ。ボールを捕って投げるのが好きだったので、内野手と一緒にノック入ったり、外野手と一緒にノック入ったり。だから自然とできるようになったのかなと思います」
――バッティングより守備練習が好きというのは意外です。19年にライナーが顔に当たって骨折するアクシデントがありましたが、恐怖感は残っていませんか?
「ないですね。当たった理由を考えると、自分の中では当たるべくして当たったと思っていたので、意外とトラウマとしては残っていなかったです。だから、今も全然平気です」
〈後編へ続く〉