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「今の若い選手には結果が足りない」上野由岐子が初めて語った“レジェンドの引き際”…45歳で迎えるロス五輪へ「選手で行くのか、指導者という形か」
posted2024/05/10 11:06
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
Takuya Sugiyama
――チームには若い選手たちがどんどん入ってきます。長らくやって来て、ご自身の若い頃との違いや時代の変化のようなものを感じますか?
「もちろん時代の変化は感じています。でも、昔の自分と比べても仕方がないと思っているので、違いを比べることはありません。逆に、若い選手と一緒にやることでまだ自分はやれるという刺激をもらったり、もうこれ以上は頑張れないなと思ったり、若い選手とはちょっと違うなと思ったり。いろいろな刺激をもらえていますね」
「まだ負けていない自分」
――これ以上は頑張れないな、というのは、普段のトレーニングで感じることですか?
「そうですね。今も一緒にノックに入ったりしているのですが、同じ時間、同じ量は練習できません。それが怪我に繋がってしまったりするからです。ただ、一緒にやっていて、まだ負けていない自分を感じますし、対等にやれているからこそ、まだいけるのかな、まだ頑張ってもいいのかなと思える気持ちを、チームの若い選手たちにもらえていると思います」
――上野投手と言えばレジェンド中のレジェンドです。20くらい年の離れた若手もいます。若い選手たちとは普段どのように接していますか?
「やはり、若い選手からしてみれば私はベテラン選手です。“上野さんは特別”みたいな空気は必ず出てきますし、それは仕方がないと思っています。ただ、私はなるべく一線を引かれないように気をつけて、声を掛けるようにしています」
――ご自身の方からアクションを起こすことが多い。
「新人選手や若い選手にしょっちゅう声を掛けるということはないですが、選手としての立場は対等であっていいと私は思っているんです。上手に距離を保ちながら、でも距離が広がりすぎないように意識しています」
2028年ロス五輪へ
――オリンピックのことについてお伺いしたいと思います。パリ五輪では実施されませんが、4年後の28年ロサンゼルス五輪での復活が決まっています。当然ながら金メダルの期待は大きいと思います。
「4年間はあっという間だと思うので、しっかり焦っていかなきゃいけないと思います。東京五輪で勝ったから次も勝てるという保証はどこにもありません。勝つための準備をしていかなければいけないですし、そのための時間は足りないのではないかと私は思っているんです。だから、若い選手たちにしっかり伝えていかなきゃいけないと思うし、背中も押していかなきゃいけない。いろんな形で尽力していきたいという気持ちがあります」