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今永昇太30歳「ナゾの人物像」先輩に辛辣発言、いたずらパンツをはいて「ファイヤー!」と叫ぶ…DeNA山崎康晃が明かす“強烈エピソード”
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byGetty Images
posted2024/05/04 11:01
アメリカで衝撃を与えている今永昇太
「『昇太とこういうことがあったよ』と話すのは簡単なんですけど、彼はどういう人物ですかと聞かれると、僕もまだ分かっていない部分がありますね。いろんな顔を持っている男なので」
その言葉に、筆者も思わずうなずいた。今永という人間は、多面的であるがゆえに描写が難しい。
筆者に“ナゾのあだ名付け”
筆者は今永がルーキーだった2016年から幾度もインタビューをしてきたが、彼を特徴づける一面として真っ先に思い浮かぶのは、高いコミュニケーション能力だ。
入団2年目あたりから、今永と顔を合わせるたび、あだ名で呼ばれるようになった。「日比野」という響きに遊び心をくすぐられたのか、「ヒビアン・スーさん」「日比谷線さん」と続き、最後にはドラえもんの野比のび太をもじって「ひび・ひびたさん」とまで。そんなふうに接してきた選手は、後にも先にも彼しかいない。
年齢はちょうどひと回り離れているが、筆者としては怒りなど微塵も感じなかったし、むしろ嬉しかったのを覚えている。
いわゆる「目上の人」に対する接し方がうまい。これについては、かつて本人も認めていた。
「大学1年生のときなんかは(上下関係が)めっちゃ厳しいので、変な要領を覚えちゃって。自分で言うのも何ですけど、それ(処世術)はうまいと思いますよ。これの世界ですから」
そう言いながら、今永は“ごまをする”しぐさを見せたのだった。
先輩に辛辣な一言「いじられてました」
実際のところ、そんなにごまをすっていたわけでもないのだろうが、「こいつ面白いヤツだな」と思ってもらえる絶妙の間合いで先輩と接し、良好な関係を構築してきたことは間違いない。
1つ先輩の山崎との間にも、こんなエピソードが残っている。
昨年7月15日の広島カープ戦。先発の今永は8回無失点の好投を見せた。ところが、1-0の9回にマウンドに上がった山崎が同点のソロホームランを被弾し、さらに二塁打を打たれて降板。後続の投手も、勢いづいた広島打線を止められず逆転負けした。
試合直後は互いの心情に配慮したやりとりがあったが、数日経つと一転、今永は過去を蒸し返し始めた。
山崎の前で、わざとらしくこんなことを口にしたという。
「あのホームランがなかったら、今ごろ7勝してるはずなんだけどなあ……」
辛辣な一言を浴びせられた山崎。苦笑交じりに振り返る。