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今永昇太30歳「ナゾの人物像」先輩に辛辣発言、いたずらパンツをはいて「ファイヤー!」と叫ぶ…DeNA山崎康晃が明かす“強烈エピソード”
text by
日比野恭三Kyozo Hibino
photograph byGetty Images
posted2024/05/04 11:01
アメリカで衝撃を与えている今永昇太
「いじられてましたね。彼は結構根に持つタイプなので、2~3年経ってもまだ言われるんじゃないですか(笑)。でも、そうやってジョークにしながら、僕に対してハッパをかけてくれていたのかなとも思います。僕にそんなことを言ってくる人はなかなかいませんし、彼の存在に救われた部分は大いにありますね」
今永は、先輩だけに意識を傾けていたわけではない。山崎は言う。
「後輩への接し方、向き合い方も非常に器用ですよ。あれだけのビッグネームでしたけど、後輩たちみんなに慕われて、楽しく話している姿には僕も学ぶべき部分があるな、と」
謙虚な姿勢を貫くこと、あるいはユーモアを駆使することで、近づきがたい先輩になることを巧みに避けていたのだろう。こうしたバランス感覚も、実に今永らしい。
8回無失点でも「反省」の真意
もう一つ、左腕の特異な一面として「客観視する力」を挙げたい。
今永は、“第3の目”を持っているように見える。その目は厳しい性格を宿しており、「それでいいのか?」と常に今永自身に問いかけるのだ。悪い結果が続いているときはもちろん、良い結果が出たときも。
先ほど触れた昨年の広島戦の直後、今永はこう話していた。
「自分は8回無失点だったけど、チームは負けている。そこで僕が考えるべきことは『8回無失点だったから大丈夫。俺は何の問題もない』ではなくて。攻撃陣にリズムを持ってこられたか。あそこのムダ球がどうだったか。勝ってしまうと、そこまで目が及ぶことは少なくなってしまう。負けたときにあらためて学ぶべき点がたくさんある」
自身を俯瞰する視点は、今永を変化へと駆り立ててきた。山崎は「冒険家」と表現したが、その原動力はいつだって現状に対する厳しい問いかけだったのだ。
山崎が言う。
「やっぱり探求力は、僕が今まで見てきた選手の中でもずば抜けています。試合の途中でも投げ方を変えるくらいですから。『今日(球の)ラインが出てないんで、ちょっと(腕の出し方を)斜めからにしますわ』とか、ロッカールームで堂々と話すんです。それで実際に、次の回には投げ方が変わっている。そういうのは僕にはない感覚ですね」
過去には、投球時に立つ位置をプレートの一塁側の端から三塁側の端に変えて復調したこともあった。修正点を見定めれば躊躇なく大胆な変化に打って出るのも、今永の特徴だ。
最後に、これまでの対話の中から今永の言葉を一つ紹介したい。