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熱狂とカオス!魅惑の南米直送便BACK NUMBER
「それはないだろ!」U-23日本代表“五輪王手”だが…ブラジル人記者が思わず叫んだワケ「キムラは救世主。ホソヤの得点はアラキのおかげ」
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph byJIJI PRESS
posted2024/04/29 17:02
カタール戦で途中出場した荒木遼太郎は細谷真大の決勝ゴールを導き出した。ジョーカーとしての期待がさらに高まる
「フリーでクロスを入れさせたのが失敗だったし、関根はクリアするどころか、ラウィの邪魔をすることすらできなかった」
――とはいえ、関根はこの失態に下を向くことなく、以後も積極的にプレーしました。
「その通り。彼のメンタルの強さは褒められていい」
――前半41分、日本がゴール前へクロスを入れた。カタールのGKアブドッゥラーがジャンプしてボールをキャッチする際、競り合った細谷の腹を蹴った。VARの結果、一発退場処分を受けました。
「中国戦で、日本は西尾隆矢(セレッソ大阪)の相手選手への肘打ちがVARに見咎められ、退場処分を受けて非常に苦しい状況に追い込まれた。それが、今度はVARのおかげでカタールGKの細谷への蛮行が明らかになった。意図的な飛び蹴りだったから、彼の退場処分は妥当。この大会で、細谷が初めてチームに大きな貢献をした(笑)」
「それはないだろう!」と叫んだよ(笑)。
――前半は1-1のまま終了。すると、後半開始時、大岩監督はMF松木玖生(FC東京)の代わりに藤尾を投入し、細谷とツートップにします。
「『それはないだろう!』 と思わず叫んだよ(笑)。FWの決定力が物足りないのでCFを2枚にしたのだと思うけど、前半のうちにイエローカードをもらっていたとはいえ、チームの核である選手を下げたことには首を傾げた。中盤の選手が1人減って、構成力が低下した」
――後半開始早々、日本はカタールに左サイドでFKを与え、クロスを頭で叩き込まれて逆転を許します。
「日本は大勢の選手がゴール前を固めていたのに、藤尾が競り負けた」
――この大会で日本は準々決勝までの4試合で3点取られていますが、いずれもヘディングによる失点です。どうしてこうも空中戦に弱いのでしょうか?
「日本の伝統的な弱点だよね。以前は大柄で強靭な選手が少なかったのが致命的だったけれど、近年は長身選手が増えており、体格差によるハンディは減った。ボールの落下地点の予測、身体の強さ、そしてヘディング技術の問題だと思う」
――その後は、日本が攻勢を強めたものの、攻めあぐねた。
「カタールが1人少ないのに、まるで同数でプレーしているような時間帯があった。その後、カタール選手が疲れたせいで日本がボールを握ったけれど、それでもゴールを割れなかった。工夫が足りないクロスを何本入れても意味がない」
木村が“日本の救世主”となっている
――ようやく後半22分、日本は右CKを木村誠二(サガン鳥栖)が頭で決めて追いつきます。