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「ノモさんは僕に再起する力をくれた」マイナー解雇→メジャー先発復帰、ドジャースの戦友・朴賛浩が今も感謝する「野茂英雄の背中」
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph byJIJI PRESS
posted2024/04/29 11:06
3月20日のMLB開幕戦の始球式に登場し、野茂英雄の存在について熱く語ってくれた朴賛浩
「この年、私はマイナーリーグでシーズンを送っていて、自分のキャリアはもはやここまでかと思っていました。でもその時、野茂さんの姿を見て、もう一度勇気を奮い起こしてやろう、という気持ちになりました。野茂さんは僕に再起する力をくれたのです」
朴賛浩はこの年、メッツのマイナーで過ごした末に解雇され、6月に契約を結んだヒューストン・アストロズでも一度もメジャーに上がれないままシーズンを終えた。一方で、前年の06年に右肘を手術していた野茂も雌伏の時を過ごしていた。無所属でリハビリを続けながら、ベネズエラのウインターリーグに参加して再起を目指していた。
二人は違う場所に身を置きながらも同じように泥を啜り、メジャーにはい上がることを決して諦めていなかった。朴賛浩は当時の思いを、「Number」1009号のインタビューでこう明かしている。
野茂さんの記録に並び、超えたい
「私には大きな目標がありました。野茂さんの(MLB通算勝利数の)記録に並び、超えること。それを成し遂げるまでは、中継ぎであっても敗戦処理であっても、メジャーにしがみついてやろうと必死でした」
朴賛浩は翌08年、復帰した古巣のドジャースで敗戦処理から這い上がり、中継の一角として復活。09年にはフィリーズで先発のチャンスを掴み取り2010年、自身7球団目の移籍先となったピッツバーグ・パイレーツで野茂のMLB通算勝利数を超える124勝目に到達した。その勝利数は、現在もアジア人として最多。そこに最も近づいているダルビッシュ有(4月29日現在103勝)について、朴賛浩は笑顔でコメントしている。