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チャビ続投決定バルサ「238億円の16歳」ヤマルもスゴいが「チャンピオン!」異常すぎるマドリーの勝負強さ…クラシコをカメラマンは観た
text by
中島大介Daisuke Nakashima
photograph byDaisuke Nakashima
posted2024/04/26 17:41
現代の名手、そして未来の超新星が集うエル・クラシコ。最後に光ったのはまたも、マドリーの異常な勝負強さだった
ベテランの仕掛けに対して、腰を落とし右足を最大限に伸ばして反応したニューカマー。
バスケスの足がクバルシの足に引っかかり倒れると、審判は躊躇いなくPKのホイッスルを鳴らした。
スロー映像を見れば、バスケスが一度引っ込めかけた足を再度かかりにいったようにも見えるが、カンセロのあまりにも軽い守備によってポケットでフリーにさせてしまった時点で勝負は決まっていた。
与えられたPKは、ビニシウスがしっかりと決め試合を振り出しに戻すと、胸に刺繍されたエンブレムにキスをしてゴールを喜んだ。
バルサで輝く神童ヤマルと20歳フェルミン
ハイレベルでチームとチームの対立が拮抗した時、勝負は局所局所での1対1の重要性が増してくる。ビニシウス対クンデ、モドリッチ対デヨング、レバンドフスキ対リュディガーと各国代表同士の熱い攻防が繰り広げられる。
その中でも白眉だったのが、マドリー左SBに入ったカマビンガに対したバルサの神童ヤマルだった。カマビンガが本職ではなかったこともあるが、バルサの16歳は足元で受けてからのドリブル、パス、また裏への走り抜けと相手を翻弄してアウェーチームの攻撃を牽引した。
バルサの2点目が生まれる起点となったのは、そのヤマルのクロスだった。
後半に入って69分、サイドチェンジのパスをコントロールすると、左足からゴールへ向かう鋭いクロスを送った。走り込んだフェランはコントロールすることができなかったが、そのボールにGKルニンも弾き出すのが精一杯。こぼれ球に20歳フェルミンが合わせ、再度バルサがリードを奪った。
VARとデヨング負傷の不運で流れが変わった
またヤマルは前半28分にも、コーナーキックから幻のゴールを決めており、クラシコ最年少ゴールをマークする可能性もあった。コーナーキックからヤマルのフリックしたボールが直接ゴールへ向かい、際どいところでルニンが弾き出している。
ゴールラインテクノロジーが導入されていないリーガでは、VARによるジャッジが行われた。かなりの時間が費やされ、選手たちからは〈とにかくオンフィールドレビューに行ってくれ〉というようなジェスチャーも。
後に公開されたVARの会話では、主審から選手たちに向かい「チェックしている、GLTはない」、またVAR担当者らとは「全く急ぐ必要はない、これは非常に重要な決定だ」、そして最終的に担当者から「ボールが入っているという証拠はない、コーナーキックだ」とも。
逆にいえば、入っていないという証拠もなかったわけだが、ゴールは認められず。これが勝負の大きな分岐点の一つだったのは間違いない。