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「大谷翔平やチェン・ウェインのように…」MAX157キロの19歳“台湾の至宝”日ハム・孫易磊とは何者か? 二軍戦初登板で「150キロ台連発」の快投
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2024/04/24 11:01
MAX157キロの豪速球を武器に前評判に違わぬ活躍を見せた「台湾の至宝」こと日ハムの孫易磊。一軍昇格の日も近い?
稲葉二軍監督も今後の起用方針について「しっかり中を空けて、明日(登板翌日)の状態も見ながら、少しずつですね。まずは、イニングと球数を増やしていけたらなという感じです」と展望した。
日本の生活や文化への順応や聡明さも取材では随所に感じる。
日本食では中トロや海鮮丼が好きで、日本語も徐々に習得しており現在は自動詞や他動詞を勉強中だという。また、幼い頃から海外志向を持っており、憧れてきた人物も印象的だった。
「サッカーのクリスティアーノ・ロナウドやバスケットのカール・アンソニー・マローンに憧れてきました。(マローンは)マイケル・ジョーダンを倒すために、自分のやるべきことに集中している姿を知り“強い人とはこういう人だ”と憧れました。(海外志向は)小学生の時から既にありましたが、実現できるか分からず、口に出すことはできませんでした。でも、中学生の頃からは確信を持って思えるようになり、高校生の時にはインタビューで口にするようになりました」
高校時代の学業成績はクラスで3位以内だったとも明かしてくれた。話しぶりには、19歳という年齢と童顔には不釣り合いな頼もしさが漂う。稲葉二軍監督が評価していた修正力については「自分がどう今の球を投げたかという絵を頭の中で描いて理解できているので、修正すべきことがどこかはすぐに分かって合わせられます」と自信を見せる。
メジャーが目標も…「目の前のことに集中」
日本の打者の特徴は「すごく粘るので、日本で投げるには勝負球が大事になってくると思います。高校の先輩であるチェン・グァンユウさん(元DeNA、ロッテ/現台湾楽天)にもアドバイスをいただいたので生かしていきたいです」と淀みなく語った。
将来像には当然、メジャーリーグでの活躍を見据えているだろうが「目の前のことに集中していきたい」と殊勝に語った後、「まずは日本語のマスターですね」と明るく笑った。
あらゆる場面で「失敗しない」姿が容易に想像できる逸材だ。一方、成功像は良い意味で未知数だ。同郷の先輩であるチェン・ウェインや日本ハムの先輩・大谷翔平のようにNPBを経由しMLBで活躍することも夢ではない。その天井知らずの成長を、これからも見届けていきたい。