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「大谷翔平やチェン・ウェインのように…」MAX157キロの19歳“台湾の至宝”日ハム・孫易磊とは何者か? 二軍戦初登板で「150キロ台連発」の快投
posted2024/04/24 11:01
text by
高木遊Yu Takagi
photograph by
Yu Takagi
投げっぷりで、話しぶりで、将来に期待をせずにいられない原石が日本ハムのファーム・鎌ケ谷にいる。
それが昨秋に育成契約を結んだ台湾人右腕・孫易磊だ。
2005年2月10日生まれと、まだ19歳になったばかりだが、タダモノではないオーラをあらゆる場面で放っている。
強風を切り裂くようなストレートで、同郷の英雄を全球ストレートで押し切った。
プロ初登板で同郷の先輩打者を圧倒
プロ初登板となった4月19日のイースタン・リーグのオイシックス戦。今季から新規加盟した同球団の1番打者は、日本球界で長く活躍した陽岱鋼だった。
「せっかくのチャンスなので、打たれてもいいから全力で全球を一番自信のあるストレートで勝負しました」と、自慢の球で真っ向勝負。初球から152キロのストレートでバットをへし折ると、5球目にも152キロのストレートで陽のバットからは鈍い音が響き、ボテボテのファーストゴロに抑えた。
2番打者以降はチェンジアップやフォークも織り交ぜ、2番・篠田大聖は151キロのストレートで空振り三振、3番・髙山俊は最終的には四球となったが、阪神で330安打を放っている相手に対してチェンジアップで空振りを奪った。そして4番・小池智也には144キロのストレートをアウトコースのストライクゾーンすれすれのところに投げ抜き、ショートゴロ。1回1四球無安打という上々のデビューを果たした。
稲葉篤紀二軍監督も「ゾーンの中にしっかり投げられていますし、ストレートの球速もしっかり出ていました。少しシュート回転は気になりましたが、初めての登板としては素晴らしかったと思います」と称えた。昨年まではGMを務めていたこともあり、アマチュア時代も視察している同監督は「抜けてしまった後の球をしっかりと(ストライクゾーンに)入れられる」と、高いポテンシャルの一つに修正力を挙げる。
筆者も昨年2度の国際大会で孫の投球を見ているが同じ印象で「崩れない」強さがある。