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「大谷翔平やチェン・ウェインのように…」MAX157キロの19歳“台湾の至宝”日ハム・孫易磊とは何者か? 二軍戦初登板で「150キロ台連発」の快投
text by
高木遊Yu Takagi
photograph byYu Takagi
posted2024/04/24 11:01
MAX157キロの豪速球を武器に前評判に違わぬ活躍を見せた「台湾の至宝」こと日ハムの孫易磊。一軍昇格の日も近い?
1度目は9月のU-18W杯決勝戦。地元開催ということで熱狂的な応援に後押しされて先発のマウンドに上がった孫は、初回から四球、犠打、安打、盗塁と馬淵史郎監督率いる日本の高校野球を凝縮した攻めに1死二、三塁とピンチを招く。
しかし、孫は表情一つ変えずに、武田陸玖(現DeNA)を空振り三振、丸田湊斗(現慶応義塾大)をファーストゴロに抑え無失点で切り抜けた。4回には、ビデオ判定で丸田のセーフティーバントが一転セーフになってピンチが広がると、次打者・髙中一樹(現東洋大)のスクイズと味方野手の悪送球で逆転を喫した。
この気持ちが落ちても仕方ない場面でも、孫は後続の打者2人を冷静に抑えて、失点を最小限に留めた。試合にこそ敗れたが、4回3分の1を投げ、打たれた安打は丸田のセーフティーバントを含む2本のみ。芯を捉えられた打球はほとんど無かった。
2度目は12月のアジア選手権。この際は台北ドームのこけら落としとなる大会で優勝を目指すための台湾フル代表に招集され、スーパーラウンド初戦で社会人野球の精鋭が集う日本と対戦。
両者無得点で迎えた7回からマウンドに上がり自己最速となる157キロを連発。3安打や自身の牽制悪送球などはあったが、要所でストレートや縦に落ちる変化球を決め2イニングを無失点で凌ぎ、台湾初のドーム球場を大歓声で揺らした。
首脳陣もじっくり育成の「台湾の至宝」
今年に入ってからは、ドラフト指名された新人選手たちと同じ1月7日に入寮すると、9日の新人合同自主トレ初日の取材では「楽しいです。寮も綺麗ですごく気に入っています」と笑顔を見せた。
「台湾の至宝」とも呼ばれている逸材は、じっくり育成されている。新庄剛志監督も新人合同自主トレ初日に、孫について問われると「大事に」という言葉を繰り返した。
「彼はメジャーリーグを目指している投手なので、じっくり様子を見ながら体づくりですね。本当に良い投手になると思うので大事に大事に。大事にしすぎてもダメだと思うので“レベルを上げなさい”という時は言いますけどね」
指揮官のこの言葉と同じく、孫自身にも焦りは一切無い。初登板後にここまでの取り組みを問われると「この試合に向けての調整ではなく、(いずれ)1年間ローテーションを守っていけるような準備をしてきました」と、目先ではなく将来を見据えての準備を進めていることを明かした。