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「康太、康太!」亡き藤岡康太の思いがジャスティンミラノを皐月賞制覇に導いた…涙の友道師が明かした“最後の会話”「彼が育ててくれました」
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph byJIJI PRESS
posted2024/04/15 17:00
無敗で皐月賞を制したジャスティンミラノ。レース後のインタビューで、鞍上の戸崎圭太は「康太が後押ししてくれた」と語った
「生前から康太とは、一緒に乗っている以上、互いの馬に乗っかるようなこと、落ちたりすることもあり得ると話していたこともあり、受け入れられるのはほかの家族より早かったです。今まで楽しめていたことが、そうでなくなるのは康太の本意ではないと思うので、変わらずに楽しんでください」
また、その日に行われた中山グランドジャンプをイロゴトシで制した黒岩悠が、ゴール前で勝利を確信し「康太、勝ったぞ!」と叫んだシーンがジョッキーカメラ映像に残されている。藤岡康太騎手より5期上の黒岩は、勝利騎手インタビューでこう言った。
「すごくいいやつで、今でも心がぐらぐらして考えられないんですけど、騎手をはじめ、馬に携わる人たちは、文字どおり命がけで競馬を盛り上げようとしています。彼もこれまで全力で、命がけで来ていました。これからは空の上でぼくたちを応援してくれると思うので、ファンのみなさんは、ひと言でいいので、康太に『お疲れさま』と言ってあげてください」
そして最後に「お願いします」と頭を下げた。
天国の藤岡康太騎手と一緒に…
ジャスティンミラノはストライドが大きく、過去2戦東京で完勝していたことからも、早くからダービー向きと見られていた。取りこぼすとしたらここだろうと思われていた皐月賞で強い勝ち方をしたのだから、当然、二冠への期待は高まる。戸崎は言う。
「今日もパワーアップしていましたし、賢いし、距離が延びていい馬です。ぼく自身はダービーでは2着が2回なので、またチャンスのある馬にめぐり合えたことを感謝しながら、ダービーまで過ごしていきたい。この馬とともに勝って、いい景色を見たいですね」
友道調教師も「馬は成長してくれている。皐月賞の前からダービーのほうが競馬はしやすいと思っていましたし、二冠を狙っていきたい」と話している。
史上稀に見る大混戦と言われた今年の牡馬クラシック戦線が、皐月賞のゴールと同時に「一強」になった。昨年も、ソールオリエンスが同じく3戦3勝で皐月賞を制し、混戦から一強になった。時計の裏付けがあるぶん、ジャスティンミラノの覇権は揺るがないように見えるが、どうだろう。
天国の藤岡康太騎手と一緒に、ジャスティンミラノが主役となったクラシック戦線を楽しみたい。