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「大谷が好調のサイクルに入ってきた」五十嵐亮太が語るドジャース大谷翔平に期待してしまうワケ「“なおド”の心配は無用だと思いますよ」
text by
五十嵐亮太Ryota Igarashi
photograph byGetty Images
posted2024/04/14 17:01
松井秀喜のメジャーリーグ日本人最多175本塁打に並んだ大谷翔平。「好調のサイクルに入ってきた」という五十嵐亮太氏がドジャースと大谷について語った
バッテリーという意味で、正捕手ウィル・スミスの安定感も見逃せません。ドラフト1巡目で入団して、マイナーでも経験を積んだ彼は、今季から10年契約をしています。キャッチャーで10年契約ということだけで評価の高さが分かりますが、やはり技術がしっかりしているし、山本とのバッテリーを見てもピッチャーとコミュニケーションがしっかり取れていることが伝わってきます。
ドジャースの一番の強みは何か。それは1年間を通して戦略的に戦えるということです。分かりやすくエンゼルスと比較すると、1試合にかかる負担、1選手にかかる負担というものが大きく違う。両チームとも1試合1試合を大事にしているのは同じです。でも、この試合を何とか、という戦いを続けているエンゼルスのようなチームは夏場以降もたなくなってしまう。ドジャースはその辺のやりくりが上手なので、開幕時点からある程度選手を休ませながら戦えている。そうすることで選手が故障せずに安定した成績を残せるので、中盤以降の戦いで差が出てくるんです。ベッツとフリーマンが中心打者の自覚を持って戦っていることで負担も減っていますし、大谷はエンゼルス時代よりも格段に安定したシーズンを送れると思います。
この戦い方ができるのも選手層の厚さがあってこそですが、今年のスプリングトレーニングを取材した際、その理由の一端を知ることができました。今シーズンからブルージェイズに移籍して今は4番を務めているジャスティン・ターナーに久しぶりに会ったんです。僕がメッツのマイナーにいた2010年に一緒にプレーしていて、明るい性格の彼とはよく話していました。当時は正直言ってそんなに目立つような選手じゃなかった。12年に自由契約になり、13年にドジャースとマイナー契約を結んだ。ここから大化けしたんです。
14年シーズンからメジャーに定着して、15年以降は主軸としてブレーク。ホームランも量産してドジャースのスター選手として大活躍しました。彼に会った時思わず聞いたんですよ。「メッツからドジャースに移籍して何があったんだ?」って。彼は、「打撃フォームもそうだけれど、何よりバッティングに対する考え方が変わった」と言うんです。ドジャースのコーチに出会って、今までセンター中心に打っていたのに、打球を引っ張っていいという話し合いをした。そこで打球速度をつけたり長打を増やす練習をしていったことが潜在能力を引き出したのだといいます。
データ分析でもドジャースは最先端
ドジャースは育成システムやコーチングなどがすごくきめ細かい。アナリストにも優秀な人材が揃っていて、データ解析なども含めて選手の能力を引き出すためにどうすればいいか、というサポートがしっかりできていると感じます。大型補強というイメージのあるチームですが、実は選手を育成する能力もずば抜けて高い。ドジャースに移籍したピッチャーが前のチームでは投げていなかった球種を投げたり、投球スタイルを変えて活躍するということもよく目にしてきました。