「やりがいは見つかった？」に対する答え

　現在の日本のプロ野球の中ではただ1人しかいない、四軍監督という仕事。就任間もないが、そのやりがいは見つかったのかと水を向けた。

「まだ分からん。分からん、と答えるのが正解かも分からんけど。やりがいがあると言うとく方が聞こえはいいのかもしれんけど、そんな簡単に『やりがいがある』というものでもないかもしれないしね」

©Kotaro Tajiri

　そんな言葉が返ってきた。

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　文字で表現すると複雑な心中を吐露したように受け止められそうだが、口調は決してそんなことはなかった。

「3歩進んで2歩下がる。だけど、その前に行った1歩が大事なんよ」

　それが人生訓だ。

　斉藤といえばエースとしての栄光やその後の右肩故障との闘いがクローズアップされるが、プロ4年目まで一軍未勝利で野手転向話が持ち上がり実際に外野手でファーム戦に出場したような選手だった。そんな野球人生の経験もまた、四軍監督の仕事に大きく反映されるのではないかと思っている。

　巨大組織の土台となる四軍の中からソフトバンクの常勝軍団再建へ。斉藤の手腕が存分に発揮されるに違いない。