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「あの馬が世代最強」「来年は全部これに持っていかれるな」名手たちが絶賛した“消えた天才”…28歳で大往生“芦毛の怪物候補”を覚えているか 

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島田明宏

島田明宏Akihiro Shimada

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posted2024/04/11 11:04

「あの馬が世代最強」「来年は全部これに持っていかれるな」名手たちが絶賛した“消えた天才”…28歳で大往生“芦毛の怪物候補”を覚えているか<Number Web> photograph by Sankei Shimbun

他馬より2キロ重い斤量を背負ってクロッカスSを快勝したスピードワールド。単勝オッズは1.1倍だった

武豊の予感「来年は全部これに持っていかれるな」

 田原が美浦に駆けつけて行われた1週前追い切りも話題になった。その年の皐月賞を勝った大西直宏のサニーブライアンと併せ馬をしたのだが、スピードワールドが並びかけて行かず、単走のような形になってしまった。サニーブライアンにとって、これはダービー当該週の重要な追い切りだった。大西は田原が追いついてくるのを待っていたのだが、田原は最後まで動かなかった。

 大西は田原より3期下(デビューは2年遅いだけ)だ。「田原さんは感覚で乗る人だし、大先輩なので何も言えなかった」とのちに語ったが、追い切り直後、田原は大西に「お前の馬、すごく具合がいいな」と言ったのだという。結局、ブライアンはその週の土曜日にも大西が跨って稽古をつけ、翌日のダービーを勝って二冠馬となった。混戦クラシックを制した二冠馬と、同世代の「消えた天才」には、こうした縁があったのだ。

 安田記念で、スピードワールドは、タイキブリザード、タイキフォーチュンという2頭の先輩外国産馬に次ぐ3番人気に支持された。古馬より4kg軽い54kgの斤量とはいえ、一頓挫あっての実戦だったにもかかわらず、これだけ高く評価されていたのだ。

 スピードワールドは遅れ気味にゲートを出て後方を進む。直線入口でも先頭から7、8馬身離れた後方3、4番手だったが、馬群を割って伸び、勝ったタイキブリザードから2馬身弱遅れた3着となった。まさに負けて強しの内容で、上がり3ハロン34秒3はメンバー最速だった。

 アメリカ調教馬アマジックマンで4着になった武は、スピードワールドの走りを近くで見て、「来年の短・中距離は全部これに持っていかれるな」と思ったという。

武豊を背にまさかの惨敗…狂い出した歯車

 秋初戦の毎日王冠では的場が騎乗し、バブルガムフェローの3着。

 そして、次走のマイルチャンピオンシップでは、この馬をライバルとしてずっと警戒していた武が騎乗することになった。「ユタカ人気」も手伝い、単勝3.3倍の1番人気。2年連続最優秀短距離馬となる、同い年のタイキシャトルを2番人気に押し退けての支持であった。しかし、結果は、勝ったタイキシャトルから大きく離された12着。再度武が騎乗したクリスマスステークスは4着と、相手が弱くなっても勝てなかった。

【次ページ】 “主戦騎手の怪我”が不振のきっかけに?

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