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井上尚弥の衝撃KOが人生を変えた?「あの一戦があったから世界王者になれた」33歳モロニーが“無敗”武居由樹の挑戦を受けた理由
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byKYODO
posted2024/04/08 17:00
2020年10月31日、WBA・IBF世界バンタム級タイトルマッチで井上尚弥(右)にKO負けを喫したジェイソン・モロニー
今の私は武居との試合に100%、集中しています。大事な防衛戦を見過ごすつもりはもちろんありません。そして今戦を無事にクリアできたとしたら、ぜひとも統一戦路線に目を向けたいですね。今のバンタム級には優れた王者が揃っており、私と他の3人の間にはそれぞれ因縁めいたストーリーライン(筋書き)が存在するんですよ。
私が2018年に判定負けを喫したIBF王者のエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)はシャープで技術的に優れたカウンターパンチャーです。昨年5月、私の双子の弟アンドリューにKO勝ちしたWBC王者・中谷潤人(M.T)は非常に背が高く、やり辛いタイプのサウスポー。前述通り、私がKOされた井上尚弥の実弟でもあるWBA王者・井上拓真(大橋)はスピードがあり、直近のジェルウィン・アンカハス(フィリピン)戦では一回り逞しくなった姿を見せてくれました。
この3人の強豪王者のうちの誰と戦ってもエキサイティングでしょうし、バンタム級がさらに盛り上がることは間違いありません。そんな楽しみな路線に駒を進めるためにも、次の試合は絶対に勝たなければいけないんです。武居という強豪に勝たなければ、そこから先には進めないのですから。
昨年、亀田和毅のスパーリング相手に
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次戦に向け、だいたい試合の10日前に訪日を予定しています。長時間フライトと時差を考慮し、アメリカでの試合の際には1カ月前には現地入りするのですが、オーストラリアと日本はもっと近いですし、時差は2時間のみ。だからアジャストメントはそれほど難しくなく、母国でのトレーニングキャンプで万全の態勢を整えてから日本に向かいたいと思っています。
実は私は昨年、亀田和毅選手のスパーリングパートナーとして訪日し、日本で3週間を過ごしたんです。美しい大阪の街で、多くの親切な人たちに接し、お寿司、刺身、ラーメン、焼肉、たこ焼き、お好み焼きといった素晴らしい日本食を楽しみました。いい思い出ができた国をまた訪れ、大舞台のリングに立てる日が今から待ちきれません。
ベストのコンディションを作り、武居との防衛戦では最高のパフォーマンスを見せますよ。自身のボクシングキャリアでも最大の一戦で、階級最強だと認められるような強さを誇示してみせます。その覚悟を持って東京ドームのリングに立つつもりなので、日本のみなさんも楽しみにしておいてください。