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井上尚弥の衝撃KOが人生を変えた?「あの一戦があったから世界王者になれた」33歳モロニーが“無敗”武居由樹の挑戦を受けた理由
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byKYODO
posted2024/04/08 17:00
2020年10月31日、WBA・IBF世界バンタム級タイトルマッチで井上尚弥(右)にKO負けを喫したジェイソン・モロニー
武居は才能に恵まれた選手ですね。私のジムメイトでもあるブルーノ・タリモ(タンザニア)が2022年12月、日本で武居と対戦した時以来、彼の存在には気づいていました。トリッキーなスタイルで、スピード、爆発力、全戦でKO勝ちするだけのパワーも備えています。ジャンプするように飛び込んで来て、大きなアッパー、フックを振りかざしてきますね。そういう相手と戦う際には決して油断できないし、気を抜いてワイルドなパンチをもらうわけにはいきません。
武居にとっても私との対戦は大きなステップアップになりますが、陣営が9戦目での世界挑戦を画策するくらいですから、それだけの実力はあるのでしょう。大橋ジムを拠点とし、井上兄弟を始めとする優れたスパーリングパートナーに恵まれていることも容易に想像できます。
「彼はまだ9戦目、私は30戦目」
難しい試合になるでしょうし、ハードファイトを想定してトレーニングを続けていますよ。武居は強敵ではありますが、穴らしきものは見えているし、弱点があることもわかっています。彼はまだ9戦目なのに対し、私はこの試合が30戦目。その差は私にとって大きなアドバンテージとなるでしょう。もちろん武居の経験不足な面につけ込めるかどうかは私次第であり、それを可能にするために日本からも堤聖也、池側純という2人の優れたスパーリングパートナーを呼んだのです。
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勝つのはもちろん、KO勝利にこだわっていきたいですね。過去3戦はKOできていませんが、私も熱心なボクシングファンであり、ファンがノックアウトを愛することはもちろん熟知しています。ハードトレーニングの結果として、武居戦はKO勝利という最高の形で試合を締め括りたいと願っています。