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逸材は甲子園以外にも…プロスカウトに聞く「センバツ後、最初に見に行く選手は誰?」大注目は“静岡の山下舜平大”と“宗山越えの逸材ショート”
posted2024/04/01 17:01
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph by
Hideki Sugiyama
雨で試合が2日順延になったあとの3月25日。
センバツ出場すべてのチームの試合が終わると、多くのプロ野球スカウトたちがネット裏から姿を消した。
この時期、ちょうど高校野球は春の県大会がセンバツと重なる。大学・社会人野球も春の公式戦シーズンを前にオープン戦がたけなわとなり、スカウトたちはセンバツを見てばかりもいられない。担当地区のお目当ての選手たちの実戦に、練習に、甲子園のネット裏の席を立ってそれぞれ赴いていくのだ。
そのセンバツは、群馬の健大高崎高の初優勝で幕を閉じたが、スカウトたちの仕事はむしろここからが本番である。
このセンバツが終わったら……「最初に見たい選手は誰ですか?」。そんなことをスカウトたちに聞いてみた。スカウトたちが春一番で見たい選手=その地区の有望株の筆頭ということになろう。
ドラフト有力素材がひしめく「静岡県」
「静岡に行きます。公式戦、県大会の地区予選が始まりますから。まず、知徳。大器なのは間違いないですから、小船は」
知徳高の小船翼(投手・197cm100kg・右投右打)は、昨年夏の県大会で146キロをマーク。新チームになった秋には、それが150キロにまで達した。
「センバツ前に練習試合を見たときは、まだ実力の半分も出ていなかったけど、なんといっても春先だし、高校生の大型は調子の波が激しいですからね。経過をしっかり見ておかないと……。あれだけのサイズがあっても、フィールディングやけん制動作なんかもこなせる。決して投げるだけのピッチャーじゃないですからね」
小船投手、昨年の夏前に取材にうかがったことがある。
目の前に立たれた時のデカさが、まさに福岡大大濠高の頃の「山下舜平大(投手・オリックス)」だったが、いろいろ話してみて、野球を多角的に考えようとする思考回路、自分を客観視できるクレバーさ、急いで伸びようとし過ぎない泰然自若さ。その内面までも、当時の山下舜平大投手に重なって見えたものだ。