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逸材は甲子園以外にも…プロスカウトに聞く「センバツ後、最初に見に行く選手は誰?」大注目は“静岡の山下舜平大”と“宗山越えの逸材ショート”
text by
安倍昌彦Masahiko Abe
photograph byHideki Sugiyama
posted2024/04/01 17:01
群馬・健大高崎の初優勝で幕を閉じた今年のセンバツ。その一方でプロのスカウトたちの勝負はここからもうはじまっている
「磐田東の寺田(光・投手・186cm98kg・右投右打)なんかも、どうなってるのか。小船みたいな巨体だけど、力任せのスピード本位のタイプじゃない。ピッチングという仕事のできる子だと思ってます。巨漢だけに走るのはしんどいんだろうけど、そのへんが前向きになってくれたら将来がもっと開けてくる。健大(高崎高)でコーチだった赤堀(佳敬)君が4月から監督で入るらしいですね」
磐田東高・寺田光投手、昨年夏の県大会では、炎天下で7イニングを無失点に抑えている。
「掛川西の増井(俊介・投手・186cm95kg・右投右打)、浜松開誠館の右と左(伊波龍之介・投手・188kg86kg・右投右打、松井隆聖・投手・179cm85kg・左投左打)に、沼津東の近藤(秀太・投手・180cm76kg・右投右打)。近藤は、進学校のピッチャーですけど、指のかかりのいい良質のストレートが投げられて、スライダーも含めて球筋も安定してます。ピッチャーとしても筋の良さを感じます。今年の静岡、面白いピッチャーが結構いるんです」
今年の桜はまだ7分咲きなのに、こういう話をするときのスカウトの表情には、早くも満開の花が咲いている。
「自分の担当地区の選手でいったら、前橋商業の清水(大暉・投手・190cm85kg・右投右打)からですね、まずは」
長身から145キロ前後の速球を投げ下ろす本格派右腕。昨シーズンの「終わり方」が気になっているという。
「去年の夏の甲子園でやられて(※終盤のリリーフで3安打2四球5失点)、秋も勝つかなと思った県大会の準決勝で敗れてます。評判は高かったのに、去年後半は不本意続き。ひと冬越して実戦でどんなふうに変われるのか。甲子園でやられたって言ったって、指に引っかけた投げ損じのまっすぐだって144~145(キロ)ですからね。電卓1級、情報処理2級……彼の場合は、頭脳明晰も大きなアドバンテージ。ガラッと変わった姿が見てみたいですね」
野手では“宗山越え”の大器が埼玉に…?
ここまで、野手の話がなかなか出てこない。
「センバツの選手たちが現状の高校野球のトップレベルとして、その記憶が鮮やかなうちに見たいとしたら、やっぱり、花咲徳栄の石塚(裕惺・遊撃手・181cm81kg・右投右打)しかいないんです」