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メジャーリーグPRESSBACK NUMBER
大谷翔平ドジャース10年1000億契約に「ジョークだろ?」MLB役員が憤慨していた“超異例の97%後払い”の是非
text by
ジェフ・フレッチャーJeff Fletcher
photograph byGetty Images
posted2024/03/31 11:00
ドジャースの本拠地開幕戦に臨む大谷翔平
後払いの発想は、大谷自身から発案されたものだという。ドジャースには彼を獲得したあとも、さらに補強できるだけの資金を残しておきたかったからだという。
彼はこの枠組みを、最終候補に残ったすべての球団に対して提案していたという。ジャイアンツとブルージェイズはこの案に乗り気だったが、エンゼルスは、そうではなかったようだ。
フリードマンも、この後払い案が大谷側から出されたものであることを認めた。
「私にはそんなことを提案できる勇気なんかないよ。ネズが提案してきて詳細を詰めていったが、交渉の間ずっと、この考え方は一貫していたよ」
ほかの選手だと考えにくい契約だが、ある意味、大谷にとっては十分にありえるやり方といえた。
1つ目に、大谷は宣伝広告出演で巨額のお金を稼いでいる―― 一部の推計によると、年間5000万ドル(約72億5000万円)に達するともいう――から、彼は選手としての年俸でそれほど大金を受け取る必要がない。
2つ目に、彼は企業スポンサー契約と、グッズの売り上げや入場券の売り上げでチームに多大な収益をもたらしているので、チームは彼にその売り上げを還元することができるし、しかも、支払いを伸ばせるのだからなおさらだ。
賛否飛び交う「この契約はジョークだ」
この後払いのニュースには、スポーツ界全体からドジャースとMLB機構に対する批判の声があがった。
ぜいたく税を導入した意味がなくなってしまうのではないか、ということだ。
あるメジャー球団の役員は匿名で、「ジ・アスレチック」の取材に答え、この契約は「ジョークだ」と言い放った。もう1人のある代理人も匿名で同取材に答え、これは大谷にとって「悪い取引き」だと指摘した。
このやり方だとドジャースの支払いを助けるだけで、それは本来、オーナーがやるべきことではないかというのだ。一方で、彼は、せっかくフランチャイズの価値を高めたのに、そのぶんの分け前をオーナーと公平に分かち合えていないと主張する。