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大谷翔平「ドジャースで大きな難題に直面するでしょうし、直面したい」エンゼルス記者が見た入団会見「オオタニを満たすのは勝利しかない」
posted2024/03/31 11:01
text by
ジェフ・フレッチャーJeff Fletcher
photograph by
ZUMA Press/AFLO
本稿は、エンゼルス加入時から大谷の取材を続ける番記者、ジェフ・フレッチャー氏の著書『SHO-TIME2.0 大谷翔平 世界一への挑戦』(訳・タカ大丸、徳間書店刊)の抜粋した記事です(全2回の後編)。
ドジャースタジアムのすぐ外で開かれた記者会見で、ついに大谷翔平は新天地でのユニフォーム姿を披露した。全世界から集まった約300人の報道関係者とテレビ視聴者の前である。
そこで、ドジャースを選んだのには、「多くの理由がある」と彼は語った。そのうちの1つは、オーナーのマーク・ウォルターと野球部門最高責任者のアンドリュー・フリードマンの存在だったという。
この2人に対する何よりの信頼の証が、もし2人のどちらかが組織を離れたら契約を大谷側から破棄できるというオプトアウト条項だ。俗に「キーマン条項」と呼ばれるもので、前例がないわけではないが、非常に稀なのも事実だ。
今は亡きスーパースターの言葉
ウォルターとフリードマンは、大谷獲得のために大変な労力を投じていた。そのなかに、伝説のバスケットボール選手で、ロサンゼルス・レイカーズのスーパースターだったコービー・ブライアントが、2020年にヘリコプター事故で亡くなる前に残した動画メッセージがあった。もともとは、2017年の時点で大谷を獲得するためにドジャースが用意していたものだった、と「ESPN」は報じている。
ドジャースはこの動画を保存していて、少し笑いも込められたブライアントのメッセージを2023年の大谷に見せた。ビデオのなかで、ブライアントは、勝つためにはロサンゼルス以上に勝ちやすい場所はなく、ドジャース以上に勝ちを目指しやすい野球チームはないと熱く語っていた。
「あれこそミーティング全過程のなかで、ハイライトともいえる場面でしたね」
大谷は「ESPN」にそう語った。
「僕もあの映像を見て驚かされました。強烈で心にふれるメッセージでしたよ」
このメッセージが大谷の琴線にふれたのは、彼の最優先事項がまさに“勝つ”ことだからだ。