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りくりゅう世界選手権銀メダル「2人とも精神的に成長できたな」珍しくネガティブな木原龍一を三浦璃来は励ました「あなたは…できるんだよ!」
text by
野口美惠Yoshie Noguchi
photograph byAFLO
posted2024/03/30 11:05
世界選手権で銀メダルを獲得した三浦璃来&木原龍一の“りくりゅう”ペア
「今年は龍一くんに怪我がありましたが、昨シーズンは私が怪我。改めて、昨季すごく支えられていたことに気づくことができました。今季は、どうしたら私がサポートできるのかを話し合いながら試行錯誤してきたので、2人とも精神的に成長できたなと思います」
その言葉に、木原も続ける。
「普段は僕のほうが引っ張る場面が多く、フォローする立場でした。でも今季は逆に助けてもらう場面が多かった。どうしても怪我明けはネガティブな感情が多く、僕のほうが崩れやすかったので、そういう時に璃来ちゃんがサポートしてくれました」
“初めて”三浦さんからサポートされて…
いつも明るいお兄さん役に徹してきた木原。彼がネガティブになるのは珍しいのではないか――。そう尋ねると、三浦が頷いた。
「そうなんです。私の方がネガティブで、龍一くんはポジティブな人柄だ、と思っていたんですが、怪我をしたからこそ焦りもでるし、完璧を求めちゃう。良い練習を積んでいるのに、龍一くんが珍しくネガティブな発言をするので、『あなたは…できるんだよ! 私よりも自信持ったほうがいいよ』って励ましてました」
木原も照れ笑いする。
「普段は僕のほうがしっかりしていて、サポートする立場ですからね。今年はどうしても自分の弱い部分が出ることが多くて、“初めて”三浦さんからサポートされて嬉しかったし、感謝していますし、良いチームだなと思いました」
“初めて”をちょっと誇張して、三浦の笑いを誘った。
最後に、酸素吸入を受けながらもカナダのペアへのメッセージを託した理由を改めて聞くと、こう答えた。
「やっぱり自国開催の世界選手権で優勝するのは特別なこと。心からお祝いを言いたいし、自分達も追いつけるように頑張りたいという気持ちがあったので、ブルーノコーチを通じて伝えてもらいました」
カナダを拠点に練習してきて5年。カナダのファン、ライバル、コーチ、すべてを好きになり、心を開いてきた。信頼する気持ちが、強さに変わる。2人の絆の原点が、そこにあった。