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「オオタニの新通訳ウィル・アイアトンって何者?」米国でも話題に…大谷翔平会見、米国メディアはどう報じた? 日本と全然違う「出場停止」への意見
text by
生島淳Jun Ikushima
photograph byGetty Images
posted2024/03/27 20:00
現地3月25日、水原一平氏による違法賭博問題に関して記者会見を行う大谷翔平。隣は新通訳のウィル・アイアトン氏
この件に関してロサンゼルス・タイムズ紙は、運転手やマネージャー的な役割を水原氏に任せていたこと、さらには現時点では明らかになっていないものの、お金の管理なども任せていたとするなら、「大谷には成長が必要」と、手厳しい論評を寄せている。
「出場停止処分」日米メディアの差
そして日米で大きな違いだと感じるのは、「大谷が試合に出られなくなるのではないか?」
ということについて、アメリカでは現時点での論評はほとんどなく、反対に日本のメディアが不安に思っていることだ。
私の個人的な考えでは、現時点で大谷はどんな罪にも問われていないのだから、出場停止処分が科されることはないし、ドジャースが自粛することもない。
これまでも、いろいろな競技で出場停止や罰金の処分が出されるのを見てきたが(危険なプレー、あるいはギャンブル、そして使用禁止薬物などに対するペナルティだ)、球団が「その処分は妥当ではない。重すぎる」と訴えるケースもある。
その場合どうなるかというと、処分内容が再検討される段階に移行するが、その間は処分期間が確定していないので、選手は試合に出場し、最終処分が決定してからペナルティを受ける。
私が思うに、日本のメディアが出場の可否に敏感になるのは、何らかの「不適切と思われる事案」が発生、あるいは報道された場合、球団、選手側が「自粛」するのが普通の流れになってしまったからではないか。
アメリカで今後の流れについてどう予見しているかというと、『フォーブス』誌がこう論じている。
「仮に大谷が水原氏の借金を肩代わりしていたとしても、前例通りならば出場停止処分は科されないだろう」
メジャーリーグでは、野球以外のスポーツに賭ける違法賭博の処分はコミッショナーの裁量に任されており、前例では罰金程度で済んでいるからだ。
今回のスキャンダルは、これまで純白だったともいえる大谷のキャリアに薄くはない「染み」をつけてしまったが、少なくとも現時点では処分の対象になることはないだろう。
今回の出来事によって、日本のメディアの心配性、ナイーブな面が明らかになったともいえる。
「“新通訳”ウィル・アイアトンって何者?」
そして今回の“事件”によってメジャーリーガーの通訳の役割が図らずもクローズアップされることになった。