「サッカーのメッシのような最高の実力と人格まで兼ね備えた大谷の姿があるため、韓国でも日本人選手ではあるが大谷を応援する人が多いと言えます」

　ここで重要なのは「日本人選手ではあるが応援する人が多い」という部分だ。これはこの評論家の偏見が思わず表れたものとも言えるが、日本人は応援しない、応援してはいけないという韓国内の「空気」を表す表現とも解釈できる。国別対抗戦でもないのに、日本人選手を応援するのはおかしいことだろうか？

　これは日本と日本人に対する韓国社会の暗黙の「偏見」があることを示す発言だ。しかし、そんな韓国社会の中で生きる人々でさえも応援したくなる力を持っているのが大谷だ。これは過去の日本のどの政治家や有名人も成し遂げられなかった小さな一歩である。

気になった「韓国凄い」報道

　日本では大谷報道一色だったようだが、韓国で個人的に少し気になったのは韓国メディアの過熱した「韓国凄い」報道だった。MLB選手たちが韓国料理を食べ、韓国観光をし、韓国で買い物をするのを追いかけて「韓国はどうですか？」「韓国料理はおいしいですか？」と聞き続ける「承認欲求」と「◯◯選手が楽しむ韓国料理」「△△選手は韓国が好き」のような報道には「やり過ぎ」感を覚えるほどだった。その代表的な例が、大谷が「韓国は好きな国の一つ」と言ったことを、韓国メディアが「韓国は最も好きな国」と脚色（？）して報じた記事だ。

　日本でも過去の国際大会で「日本凄い」的な報道が増えたことを懸念する声があっただろうが、私が思うに韓国はそれ以上だ。韓国は史上初のMLB開幕戦ということで、少し興奮しているのかもしれないが、日本はすでに何度もメジャーの開幕戦を経験しており、来年か再来年にまた開催されるだろう。その時、日本はどのような報道をするのだろうか。盛り上げは必要だが、他人の目線を気にするよりも自分たちが楽しむ、そんなイベントとしての大会と報道を期待したい。

＜前編とあわせてお読みください＞

#1から読む

「さようなら。オオタニ、キムハソン」韓国で異例の“自国選手より大谷翔平推し”生中継、一体何が…？「大谷妻5000円バッグの衝撃」「水原通訳は…」