「ミズハラ通訳は穏やかな人だと…」日本人が知らない大谷翔平「韓国での本当の評価」現地記者が語る「オオタニは救世主」「開幕戦で見たかったのは…」

　史上初のMLB開幕戦に熱狂した韓国で、常に話題の中心にいたのは日本の“7億ドル男”だった。

「文字通りオーラがありました。スーパースターでありながら、決して傲慢ではない。場内で『ショウヘイ・オオタニ！』とアナウンスされた時の歓声は……まさに圧倒的という表現がピッタリだったと思います」

　高尺スカイドームで「MLBワールドツアー・ソウルシリーズ2024」を現地取材した韓国スポーツ紙『スポーツソウル』のキム・ドンヨン記者は、間近で目にした大谷翔平の存在感をそう言い表した。

　確かに、今シリーズが行われた約1週間の韓国、特にソウルは圧巻の“大谷フィーバー”に包まれた。

　韓国到着時、仁川国際空港で見せた妻・真美子さんとのツーショットは新聞各紙の1面に大きく掲載された。球場のポップアップストアでは大谷の名前入りユニホームとTシャツが連日即完売。あまりの売れ行きに、「ユニホームは1人2枚、Tシャツは1人4枚まで」という購入制限が前者は「1枚」、後者は「2枚」とより厳しくなった。

グッズストアの店頭は青成分多め　©Nanae Suzuki

すべての写真を見る（126枚）

　開幕2試合では俳優ヒョンビンと女優ソン・イェジン夫婦、K-POPグループBIGBANGメンバーのG-DRAGONなどを筆頭に、大勢の韓流スターが現地観戦して注目を集めたが、これすらも「大谷の影響なのでは？」と推察された。ソウルシリーズのことをもはや「大谷シリーズ」と呼ぶ声もあったほどだ。

2年前は中止に追い込まれていたMLB興行

『スポーツソウル』でもう一人、ソウルシリーズを取材したユン・セホ記者は「韓国でのMLB開幕戦には半信半疑でした」と、開催決定時の率直な思いを打ち明ける。

「確かに歓迎すべきことですが、収容規模の小さい高尺スカイドームで採算を取ることは難しい。韓国では2022年11月にMLBツアーを行おうとするも、チケットの売れ行きが芳しくなく、開催2週間前に中止となったことがあります。だから今回も、開催が決まった時点では興行を豪語できる状況ではありませんでした」

　ただ、そのような不安を一瞬で消し去った“救世主”が大谷だったわけだ。ユン記者が続ける。

「2年前のMLBツアー失敗と違ったのは、大谷のドジャース移籍という幸運が舞い込んできたことです。現代野球で不可能と思われた“二刀流”を完璧に成し遂げた球界最高のスターが韓国にやって来たのですから、開幕2連戦のチケットが即完売となったのも納得です。冷静に振り返ると、『オオタニ好材料』がなければソウルシリーズの成功は不可能だったかもしれません」

　では、いざ大谷が開幕戦で見せたパフォーマンスをどう評価するか。キム記者は2試合通算10打数3安打、2打点という成績に「正直言うと、まだ100％には見えませんでした」とし、その理由を説明する。

【次ページ】　妻の「コッカルコーン」と通訳の「ペシン」