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度会隆輝は「素直にすごい」「でもやっぱり負けたくない」同期ドラ4・石上泰輝が語る、度会との絆「実は野球を辞めようと思ったことも…」
text by
石塚隆Takashi Ishizuka
photograph byJIJI PRESS
posted2024/03/25 11:08
徳島商から東洋大を経て、2023年ドラフト4位でDeNAに入団した石上泰輝。右投げ左打ちの原石は今季、どんな輝きを見せてくれるか
プロのレベルを痛感も「振ってみないとわからない」
「プロになって感じたのは、当たり前なんですけど、学生時代と比べてピッチャーのストレートの速さや変化球の曲がりの大きさや切れが全然違うことですね。けど思ったのは、振ってみないとわからないということ。とにかく行けそうなボールは躊躇せずに振ってみる。ただ、大振りするのではなく、始動を早めに、コンパクトに、速く、強く振ることを意識しています」
この積極性。まずはバットを振って“事を起こす”こと。右足をオープンに据えた独特なフォームでしっかりと体に壁を作り、ぎりぎりまで体を正面に開かず、ボールを引き寄せ、最短距離で鋭くコンタクトしていく。プロの強いボールにも躊躇なくしっかりと入って行けているのが印象的だ。
「初見のピッチャーの方々ばかりですが、ネクストバッターズサークルでタイミングは取っていますし、とにかく初球から振れるようにベンチでも準備をしています」
三振するのが本当に嫌い
また追い込まれても、食らいつく粘りを見せ、体勢を崩されてもセンターから逆方向へ軽打を放つ器用さも持ち合わせている。
「実はあまり三振したくないんです」
そう言うと石上は苦笑した。確かにオープン戦でも54打席中、三振は7個にとどめた。
「三振するのが本当に嫌いなんですよ。だから何とかして前に飛ばそうって。追い込まれても、とにかくバットに当てる。やっぱり振ってこそヒットが出るわけですし、そこは今後も意識してやっていきたいです」
石井コーチ「ゲームのほうが“映える”」
非凡なセンスを見せている石上に対し、石井琢朗チーフ打撃兼走塁兼1塁ベースコーチは、「非常に面白い存在」と評価している。
「キャンプ初日はどうかなと思って見ていたんですけど、日に日に印象が変わっていった選手ですね。もちろん練習も大事なんですけど、石上の場合は、実戦をこなすことで成長していく選手のような気がします。練習よりもゲームのほうが“映える”っていうんですかね。実戦の中で、いろいろなことを覚えていくタイプではないかって」
緊張感のある実戦に身を置き、考え、学び、経験値を増やし、それを血肉にできる選手。確かにオープン戦では複数の打順や守備位置、また代走など多岐に渡る起用だった。石上自身は「とにかく必死でした」と言うが、首脳陣は適性を見極める上で、いろいろと経験を積ませていたのだろう。
石上はパワーヒッターですよ
さらに石井コーチは、石上の最大の魅力を「パワーですね」と言い切った。