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スポーツ百珍BACK NUMBER
『不適切にもほどがある!』で注目の1986年…スポーツ界の“無双”は?「三冠バース・落合博満、ムキムキ千代の富士、マラドーナは“不適切”」
text by
茂野聡士Satoshi Shigeno
photograph byTBS
posted2024/03/23 20:00
『不適切にもほどがある!』の主人公・市郎。彼らが生きる1986年のスポーツ界とはどんなものだったか
板東英二はさておき……「バース」とは、阪神タイガースの伝説的助っ人外国人「ランディ・バース」のこと。
阪神は2023年に日本一に輝いたが、その栄光は1985年以来――つまり市郎が本来生きている1986年の前年――だった。現監督の岡田彰布や掛布雅之らと「ニューダイナマイト打線」を結成し、打ちまくって日本列島に猛虎ブームを巻き起こした。無理くり今でたとえるとラーズ・ヌートバー並みに有名で、愛されまくったアメリカ人野球選手だった。
それだけの知名度を誇ったのは、阪神を日本一に導いた圧倒的な打撃成績にある。
<バースの1985年、86年打撃成績>
85年:打率.350 54本塁打134打点
86年:打率.389 47本塁打109打点
バースは2年連続の三冠王に輝いている。さらに86年の打率.389は今も日本プロ野球史上最高打率という記録で、まさに「無双」の史上最強助っ人だったのである。
「#八嶋無双」…ではなく「無双」のアスリートだらけ
そういえば、ドラマでは「#八嶋無双」なんてワードが、劇中でも現実のSNSでもトレンド入りしていた。現代は圧倒的な実績を残す人々を「無双」と絶賛するのが一般的になったが……1986年はバース以外でも〈無双していたアスリート〉が多いことに気づかされる。
1986年の『Number』をリサーチしてみるとバース、そしてもう1人の「無双打者」がたびたび特集されている。それは落合博満だ。21世紀に入ってからは『嫌われた監督』としての名将ぶり、そして野球界のご意見番のイメージが強いが……実はロッテ所属時の85年と86年はバースとともに「セ・パ両リーグで2年連続三冠王」を達成している。
<落合博満の1985年、86年打撃成績>
85年:打率.367 52本塁打146打点
86年:打率.360 50本塁打116打点
バースと落合、まさに甲乙つけがたい最強の三冠王だった。Number139号にはなんと「三冠王対談 ランディ・バース&落合博満」なんて編集部取材の超お宝記事があった。2人のやり取りで印象的な部分を抜粋すると……。