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なぜいま日本代表に長友佑都(37歳)が必要なのか?「アジアカップは臨機応変さに欠けた」森保一監督に招集を決断させた“これだけの理由”
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2024/03/16 17:00
カタールW杯では「ブラボー!」を合言葉にチームを鼓舞した長友佑都。37歳となった現在も「5回目のW杯」を本気で目指している
指揮官の狙いどおりに、長友はトレーニング初日からチームに熱を注いでいくに違いない。彼を中心に作り出されるポジティブな空気が、北朝鮮を打ち負かすことにつながるのだ。
ふたつ目は、北朝鮮という相手を意識してのものだ。
情報の絶対量が少なく、相手のスタメンや戦略も読み切れないところがある。不確定要素を含むなかでの戦いでは、ピッチ上での臨機応変な判断が問われる。「相手がどんな戦いを仕掛けても、対応できるようにしたい。アジアカップではそこの臨機応変さに少し欠けた」と、森保監督も認めている。
試合中の柔軟な対応は持ち越し課題であり、若手や中堅のフレッシュさや勢いではなく、経験の注入が最善の一手だ。国際Aマッチ142試合出場を誇る長友が加わることで、試合運びが安定することが期待できる。
26日のアウェイゲームは、平壌で行なわれる。前回の平壌での対戦は2011年11月のブラジルW杯アジア3次予選で、前田遼一コーチがこの試合に先発出場している。長友は当時も代表の主力だったが、この試合はケガのため出場していない。
それでも、北朝鮮入りした選手たちから話は聞いたはずだ。現地の環境に対して予備知識を持てるのは、若いチームメイトたちにとって心強いはずである。
「三笘薫が不在の左サイド」で求められる仕事
戦術的なメリットも、見つけることができる。
今回の日本代表には、三笘薫が招集されていない。彼の不在時に左サイドで起用されることもある伊東純也も、メンバー外となっている。
三笘と縦の関係を築くSBは、攻撃面で多くのサポートを求められることはない。ビルドアップでタッチライン際の高い位置へ張り出したりすると、三笘が使いたいスペースを埋めてしまうことになるからだ。三笘の後方にステイしてボールの循環に関わったり、三笘にマークが集中した際にサポートに入ったりするのが、攻撃面での主な役割だ。数多くのオーバーラップは求められず、相手のカウンターに備えるのも重要なタスクになる。