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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「最近はまず考えるようになった」30歳井上尚弥が米メディアに本音で語った“ラスト5年”のボクシング「常に一番強い井上尚弥を見せたい」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byNaoki Fukuda
posted2024/03/15 11:05
米リングマガジンのロングインタビューに応じた井上尚弥(30歳)。本稿では、その日本語版を特別に全文掲載する
――先ほど、テレンス・クロフォード(アメリカ)の名前が出ましたが、パウンド・フォー・パウンドのライバルたちの戦いは最近、少し気になりますか?
NI 気にして見るようにはしていますよ。ただ、ヘビー級とかそういう階級はあまり見ないですけど。(オレクサンデル・ウシク対タイソン・フューリー戦のこととか)何となくは知っていますけど、階級が違いすぎるので、見るとか、チェックするまではいかないんですよね。ボクシングの見方、やり方も全然違うじゃないですか。自分たちには理解できない戦いだと思うので、ほぼほぼ違う競技ですよね。
――普段そんなにボクシングを熱心に見るタイプじゃないですよね?
NI 見ないですね。ジムメイトの試合とかは見ますけど、海外の試合とかもそんなに見ないです。
――それでもアメリカでの評価、知名度は以前より気になりますか?
NI いや、それはもうすごく気にするようにしています。こういう賞を受賞するというのも1つの形ですよね。自分がアメリカに住んでいるわけではないので、どこまでの人たちがボクシングに興味を持って、その中で自分に興味を持ってくれているかっていうのはまったくわからないですけど、ただ、表に出てくる自分の記事だったりは前より気になるようになっています。
――自身の世界的な評価が上がるとともに、少し意識が変わってきた部分はあるということですね。
NI そうですね。パウンド・フォー・パウンドのランキングに入ってから、上位に入ってから、気にするようにはしています。
井上尚弥が変えた“軽量級の常識”
――井上選手と大橋会長の中にアメリカで試合をしたいという気持ちは依然としてあるのでしょうか?
NI 戦いたい気持ちはありますよね。またやりたいです。ただ、今では条件的なもの、契約的なものも含め、日本の方がすごいファイトマネーが出せるマーケットになって来ています。一昔前、みんながアメリカンドリームを掴みたいと感じた背景として、アメリカで結果を出せばファイトマネーや知名度がついてくるというのがあったと思います。それが今、動画配信の時代に変わってきて、日本で成功すれば軽量級でも億を超えるファイトマネーが叩き出せるようになりました。だからこそフルトンも来たと思うし、日本で大きな試合が組みやすくなっているのでしょう。
――今はアメリカンドリームじゃなく、ジャパニーズドリームの時代ですよね。対戦相手の金銭欲も満たされるだけに、軽量級のビッグファイトは日本の方が組みやすい時代であることは間違いないかと。
NI はい、みんな日本で試合したいですもんね。そういう方に変わって来ているのを感じます。もともとみんながアメリカで試合をしたがったというのも、PPVなどで大金を稼げるという理由だったですよね。それが今、軽量級では逆になり、日本こそが軽量級の選手たちが憧れる舞台になって来ています。
――そのムーブメントを作ったのは「Naoya Inoue」で、最近は多くの著名ボクサーに対戦を望まれる選手になりました。タパレス戦でも、以前より研究されていると感じましたか?