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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「最近はまず考えるようになった」30歳井上尚弥が米メディアに本音で語った“ラスト5年”のボクシング「常に一番強い井上尚弥を見せたい」
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph byNaoki Fukuda
posted2024/03/15 11:05
米リングマガジンのロングインタビューに応じた井上尚弥(30歳)。本稿では、その日本語版を特別に全文掲載する
NI 研究されているというのも、もちろん感じましたけど、それよりもディフェンシブに戦っているなという印象を受けたんですよ。もちろん自分のボクシングに対してだからディフェンシブに戦っているっていうのはあるんでしょう。ただ、チャンピオンクラスの選手が守備的に戦ったら、やっぱりああなるよねっていうところはありますよ。自分だって距離を取って、脚を使って、守備的に戦えば、塩試合にすることは可能ですから。
――あれは勝ちに来た戦い方だとは思わなかったでしょうか?
NI 何を思って、ああいう戦い方を選択したのかというのは気になります。
――5回に浴びた右フックは効きましたか?
NI あの右フックはダメージが少なからずありましたね。
――ドネア第1戦の9ラウンドと同じくらい?
NI いや、あそこまでではないです。別に(ダメージで)膝が落ちるとかではなかったですし、戦力を損なうとか、そこまでではないです。
「(キャリアの)ラスト5年に入っている」
――今、井上選手はもうキャリアの後半に入っているんでしょうか? それとも終盤にいると思いますか?
NI 後半ですね。前半5年、中盤5年、ラスト5年という考え方をして来ました。それで今、ラスト5年に入って来ています。
――力が落ちているという感覚はないですよね?
NI いや、まったくないです。
――むしろ今がピークなのでしょうか?
NI 今は自分のやりたいボクシングというものを客観的に見ることができていて、それを試合に出せています。自分は前半から攻める試合が多いんですけど、それはこれまで何十年も積み重ねて来たものがあるから、緊張しようが、頭が真っ白になろうが、身体が反応して可能になってきたんです。それが最近はまず考えてから行動に移すというボクシングになっています。試合中の感覚が変わって来ているなっていうイメージですかね。
――それはポジティブなことなんですよね?
NI めちゃくちゃポジティブですよ。
――スーパーバンタム級に上げて、パンチの効果が落ちたという一部の意見はどう思いますか?
NI まともに当たったらいつでも倒せるよっていう自信はありますよ。ただ、(タパレス戦では)ピースがはまらなかったというだけ。たぶん2度のダウンも力づくにいったものでした。本当にぱちっとはめて、効かしたパンチではないとは思います。こつこつとダメージを与えて、嫌倒れという感じでした。
――階級うんぬんよりも、あの試合がそうだったということ。相手の戦い方もあって導かれた結果ということですね?
NI はい、その通りと思います。