草茂みベースボールの道白しBACK NUMBER
「僕の中では“源田の次”です」侍ジャパン・井端弘和監督がはっきり認めた宗山塁(明大)の実力…名手を「直電で招集」してまで見せたかったものとは
text by
小西斗真Toma Konishi
photograph byJIJI PRESS
posted2024/03/10 11:03
侍ジャパンで“共演”を果たした源田(左)と明大・宗山
今回の侍ジャパンに招集された4人の大学生は、いわば目玉だった。トップチームへの選出は時期尚早とのファンの声も少数ながらあったが、井端監督は大学ジャパンの合宿やリーグ戦を頻繁に視察。能力として十分に資格があるという判断はもちろんだが、別の思惑もからんでいた。それがわかるのが一部選手へのダイレクトコールである。
井端監督が直電したある選手
侍ジャパンへの招集は所属球団を通じて行うのが基本だが、その正式ラインとは別に井端監督は村上宗隆(ヤクルト)、近藤健介(ソフトバンク)、源田壮亮(西武)らに意図と誠意を伝えるために直接電話をかけている。3人は昨年のWBCにも選出されており、侍の常連だ。大学生や若手が経験を積む意味もある強化試合だけに「今回は…」となってもおかしくないところ。
それでも村上には侍の主砲としての責務もあるだろうが、源田については判断を迷うところ。しかも今回は中野拓夢(阪神)、紅林弘太郎(オリックス)、小園海斗(広島)に宗山塁(明大)と二遊間を本職とする内野手を4人招集しており、源田抜きでも2試合なら組めたはずである。しかし、井端監督には源田を呼ぶ明確な意図があった。
「見せてやってほしかったんですよね。宗山に。今回は残念ながらケガで1人だけ試合に出ることはできませんでしたが、一緒に練習することはできた。そういう意味では二遊間を多めに呼んでおいて本当に良かったと思います」
「僕の中では“源田の次”です」
他の3人だけでなく、宗山は今ドラフトでの1位競合が確実視されている。招集前の大学での試合で死球を受けていた右肩甲骨が、亀裂骨折していたことが招集後に判明。代替選手を呼ぶ時間がなかったこともあるが、井端監督は宗山をそのままベンチに入れ、試合を見せた。同じショートストップの名手として、宗山の守備力を高く評価しているからだ。
「僕の中では(今の日本球界で)源田の次です。そして源田が入ったころよりもうまいと思う。まずスローイング。捕ったら(その先は)間違いがないなと思える。そして柔らかさ。グラブで捕るんじゃなく、足を使ってグラブがあるところに打球を入れている。バウンドが合わなくても、合わせることができるんです」