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大谷翔平には「とてつもない才能があるから…」元巨人・マイコラスが語っていた“オオタニ評”「食事と言葉が問題だった」日本生活のリアル
text by
ジェイ・パリスJay Paris
photograph byNanae Suzuki
posted2024/03/29 11:02
開幕を迎えたMLB。日米両国の野球文化を知るマイコラスが大谷について語っていたエピソードとは?
日常生活では「食事と言葉が問題だったね」
読売ジャイアンツで3シーズンプレーしたマイコラスは、31勝13敗、防御率2.18を記録している。日本式のトレーニングを進んで受け入れたというマイコラスだが、実は自分なりの対処法も見つけていたのだと語る。
「表向きは、“日本にいるんだから、できる限り多くのことを周りと同じようにやりたい”と言っていた」2012年から2014年までのあいだ、サンディエゴ・パドレスとテキサス・レンジャーズの投手を務めたマイコラスは言った。「それで上手くいかなかったり、気に入らないと思ったりすれば、昔のやり方に戻していたよ」
日本人は、ひとたび正しい練習方法だと思えば、なかなかそれを変えたがらないのだとマイコラスは言う。
「非常に細かいところにまでこだわり、それを厳密に守る人々なんだ。手順を飛ばしたり、省いたりすることは絶対にしない。こうすればもっと効率がいいんじゃないかと提案しても、“絶対にダメだ。この方法しかない”と言われるんだよ」
日常生活にも慣れないことが多かった。プレー面よりも、そちらのほうがマイコラスにとっては適応が大変だったようだ。
「食事と言葉が問題だったね」
マイコラスが語る「日本のプロ野球のレベル」
ところで大谷が日本プロ野球界で活躍したことを思うと、ある疑問が持ち上がる。
シーズンが長く、選手の質も高いメジャーリーグで、はたして同じように彼は活躍できるのかということだ。
マイコラスの目から見て、日本のプロ野球のレベルはどれくらいなのか。
「よく言われるのは、メジャーリーグとトリプルA(マイナーリーグの最上位)の中間くらいということだが、なかなか的確な表現だと思う。日本の選手は非常に才能豊かで、磨き上げられているよ。FA権行使に関するルールが違っていれば、メジャーリーグで活躍する日本人は今よりもずっと多くなると思う。即戦力になれる人材はかなりいると思うし、わずかな調整期間で適応できそうな選手も数多くいる。だが、同様にメジャーリーグ級の選手はアメリカにも多数いて、特に投手が多いんだ」
マイコラスが気づいたもっとも大きな日米の野球の違いは、攻撃面だという。メジャーでは1番から9番まで全員がホームランを打とうとするのに対し、日本のバッターは状況に応じて打ち方を変える。
「手堅くヒットを打つケースが多いが、内野手も外野手も優れているので、そう簡単にはいかない。あと、アウトを取られないように上手く打ち上げる選手も多いね」