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「僕はその言葉を信じて…」メジャー1年目・今永昇太が大切にする“2人の先輩からのアドバイス”「藤川(球児)さんの体験談をお聞きして…」

posted2024/03/29 11:03

 
「僕はその言葉を信じて…」メジャー1年目・今永昇太が大切にする“2人の先輩からのアドバイス”「藤川(球児)さんの体験談をお聞きして…」<Number Web> photograph by Getty Images

メジャー挑戦1年目へ、ここまで順調な調整を続けてきた今永翔太(30歳)

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笹田幸嗣

笹田幸嗣Koji Sasada

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 今永昇太はメジャー1年生でありながら“極上の春”を過ごした。日本時代から『投げる哲学者』のニックネームを持つが、彼は初めての米国で、日本とは違う野球文化に適応しなければならない中で、メジャーリーグの投手としての自分の現在地を、常に俯瞰から客観的に捉えていた。適応に追われ、アジャストに必死となってしまうのが1年生の春。それなのに彼は冷静に自己分析し、現在地を理解した。そこに凄みを感じた。

「自分を客観的に見なければ、適切な目標設定はできないと思う。自分の現在地をしっかりと理解した上で、目標を立てるのがいいんじゃないかなと」

 メジャーとのオープン戦は4試合に先発した。12回2/3を投げ、25三振。奪三振率は驚異の17.76にも及び、マイナーリーガー相手の練習試合では打者22人から13三振も奪った。

 言うまでもなく投球とはチームを勝利に導くためのものであり、奪三振ショーを展開するためのものではない。だが、奪三振は打者を圧倒する指標のひとつ。打球がインフィールドに飛ばない事実はそれだけ勝利にも近づくことになる。

150キロで築く“三振の山”

 今永の投げる直球の最速はこの春、95マイル(約153キロ)だった。だが、その数値をマークしたのは記者の残した記録ではたった1球。アベレージは93マイル(約150キロ)程度。メジャーではごく平凡な球速で奪三振の山を築く。ここに今永昇太という投手の特徴、長所が表れている。

 初登板となった3月2日のドジャース戦。2回1/3でチェンジアップ、スライダーを駆使し5三振を奪ったが、93マイルの直球をマイナーリーガーに3点本塁打にされた。この時点で彼はまだ自分の投げる直球に違和感を覚えていた。

【次ページ】 今永が語る、理想のストレート

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