- #1
- #2
プロ野球PRESSBACK NUMBER
阪神の守護神・岩崎優が明かす日本シリーズ「大逆転劇のブルペンで起きていたこと」32歳が貫く“鉄仮面”の流儀「スイッチが5段階あるなら…」
text by
酒井俊作Shunsaku Sakai
photograph byShunsaku Sakai
posted2024/03/06 11:01
新シーズン開幕に向け、守護神は静かに準備を進める
あれから3カ月。あの言葉に潜むものを知りたくて、キャンプ地の沖縄・宜野座に飛んだ。岩崎は2月のキャンプインを二軍で迎え、中旬から一軍に合流したばかり。日焼けした顔つきが順調さを物語っており、そのままチームに安心感を与えている。ベテランの域に入った32歳のサウスポーは涼しげな佇まいのままに、3カ月前の発言の意図を振り返った。
第5戦が持つ意味
「ドッシリといいますか。他の選手が自分の立ち居振る舞いを見ていると思うんです。もちろん喜ぶ時もあるんですけど、自分がマウンドに行く時には(感情を)出さないように。点差が何点であろうが、自分のやることは一緒。そういうのを周りに見てもらって伝えたい。もちろん、点差がある方が楽です。でも、そこにあまり左右されずに、パフォーマンスを出したいんです」
日本シリーズ第5戦が持つ意味は、誰もが分かっていた。勝てば頂点は目前。京セラドーム大阪で行われる第6戦以降の2試合のうち、1つ勝てばいい。この試合を制すれば、圧倒的に優位に立てるのである。
大逆転劇の裏でブルペンは…
第5戦の8回裏。敵失も絡んで好機を築くと、ブルペンで待機する投手たちも固唾をのんでモニターを見守る。近本光司の右前打で1点差に迫り、森下翔太の左中間を破る2点タイムリー三塁打で逆転した。黄色いスタンドが揺れに揺れていた。
ブルペンは一塁アルプス席の真下にある。救援陣もまた、場内の大歓声がこだまする中、感情を爆発させた。仲間たちの様子を岩崎はまるで他人事のように振り返る。
「『ワー』って、ブルペンでも盛り上がっているんですよ。自分はうんうんって。それくらいの感じでした」
欠かさず行う作業
8回裏に点差が動かなければ勝ち試合を締める岩崎の出番は9回にはやってこない。だが、先頭の木浪聖也が出塁すると、守護神は肩慣らしを始めた。