「日本代表のキャプテンとして、今回のアジアカップはどのあたりに難しさを感じたか」。そう聞くと、遠藤は彼らしい答えを示してくれた。

「アジアカップのような大会になると、普段のパフォーマンスを最大限まで出し切れない選手たちも出てくる。そうなった時に、どこまで自分が彼らにアプローチするのか、みたいな局面はありました。 それが、経験なのか、若さなのか、メンタリティの問題から来ているのか。そういうちょっとした決断の迷いがある時に、どこまで自分がそれをサポートできるか、とか（を考えていた）。

　そういうことができるだけないように、試合前や大会前から、彼らの気持ちをどう持っていってあげるかみたいなところは、 難しさを感じましたけど。アジアカップのような一発勝負で勝つのは、なかなか難しいっていうのは改めて感じました」

英国紙「リバプールには“3人のキャプテン”がいた」

　リバプールが10代の若手を多く送り込んでタイトルを掴んだことから、英メディアは「ヤングリバプールが栄冠を勝ち取った」と大々的に報じた。ただ英紙タイムズの記事で、こんな一文が目に止まった。

「リバプールのピッチには、オランダ代表の主将ファンダイク、スコットランド代表の主将アンドリュー・ロバートソン、そして日本代表の主将を務める遠藤がいた。クロップ監督は、ピッチでいかにリーダーが重要な存在であるかを示した」

　思い返せば、リーグカップの優勝決定後、遠藤のもとに真っ先に駆け寄っていったのは19歳のマコーネルだった。もちろん偶然かもしれない。ただ懐の深い、頼りになる先輩でなければ、19歳の若者は決して遠藤に抱きついたりしなかっただろう。

　ウェンブリーのピッチで、遠藤はプレーヤーとして眩しい輝きを放った。それだけでなく、遠藤のハート、31歳のベテランとしての心持ち、そして彼らしいリーダーシップも、リバプールに今季ひとつ目のタイトルをもたらした要因だったと思えてならないのだ。

＜前編から続く＞

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