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大谷翔平と別れたトラウト“ラジオで語った”本音「ネットでも話出ていたし…」エンゼルスへのトレード要求報道を「完全否定」の意味
text by
水次祥子Shoko Mizutsugi
photograph byGetty Images
posted2024/02/22 11:00
エンゼルス時代の1枚、オールスターで。マイク・トラウトと大谷翔平
「簡単な逃げ道、それがトレード要求だよ。そういう日がいつかは来るかもしれないけれど、今はそんなことは考えていない。自分がエンゼルスとあの(12年の大型)契約を結んだということは、チームに忠誠を誓ったということだ。このチームでワールドシリーズ制覇を果たしたい。このチームで頂点やプレーオフ進出を目指すことは、簡単にここを去り他所で目指すよりも満足感がある。それが今の自分の信念だ」(現地メディア『ESPN』))
このオフは、アート・モレノ・オーナーら経営陣に、補強をして勝てるチームにしてくれと何度も強く要望してきたという。スプリングトレーニングが始まってもまだ大物FA選手が複数残っており「そのうちの誰かを獲得するよう、開幕するまで球団に要望を続けていく」とも話した。トラウトが、そこまで熱心に球団に補強を要望する姿を見せたことは、これまでなかったと思う。
望むWS「オオタニ対トラウト」
トラウトがポストシーズンでプレーしたいという思いを強くしたのは、昨年3月のWBCだった。米国代表の主将だったトラウトが決勝戦で1点を追う9回2死走者なしで打席に入り、侍ジャパンでクローザーとして登板した大谷と対峙した。フルカウントから空振り三振に倒れ米国は準優勝に終わったが、この試合の後、エンゼルスのフィル・ネビン監督(当時)に「自分にはこれが必要だった。この雰囲気でプレーすること、この瞬間、この経験が必要だった。自分はこのチームでプレーオフを戦いたい。その思いがどれだけ強いか、改めて気づかせてくれた」と思いを明かしたという。
「トラウタニ」コンビとしてこの6年間、1度もポストシーズンに進出することはできなかったが、WBCでの大谷との決勝対決、そして大谷がFAで去った出来事が、トラウトのモチベーションをさらに一段引き上げるきっかけになったのは確かだ。別々のチームで違う道を歩み始めた2人は、今度はワールドシリーズという舞台で互いの道を交差させる日が来るのかもしれない。トラウトが吐露した強い思いからは、そんな期待感が伝わってくる。