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「批判殺到の森保ジャパン」より迷走中…激震・韓国サッカーで今、何が起きてる? 違約金10億円の電撃解任、キャプテンと若手の内紛亀裂 

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キム・ミョンウ

キム・ミョンウKim Myung Wook

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posted2024/02/17 11:04

「批判殺到の森保ジャパン」より迷走中…激震・韓国サッカーで今、何が起きてる? 違約金10億円の電撃解任、キャプテンと若手の内紛亀裂<Number Web> photograph by Getty Images

韓国代表監督を解任されたユルゲン・クリンスマン。自身の公式Xでは感謝の言葉を投稿した。通算成績は17試合、9勝5分3敗

 ファンボ・グァン技術本部長は、「様々な理由からクリンスマン監督がこれ以上、リーダーシップを発揮するのは難しいという委員会の判断で、交代が必要ということに意見が集まった」と説明。解任に向けた理由については「戦術の不徹底や新戦力の発掘に失敗」「選手団の管理、チームの雰囲気や内部の争いを常に把握できず、指導者として規律と基準を提示できなかった」ことなどが伝えられた。

 しかし、戦術面での不備についてクリンスマン監督は完全に否定し、ヨルダン戦の敗戦に関しては「選手間の不和が影響した」と言い切ったという。“敗因は選手の責任”という趣旨だが、話し合いにリモートで参加したクリンスマン監督は途中退席。これ以上、話をしても意味がないと判断したのだろう。

 翌日、KFAのチョン・モンギュ会長は臨時委員会を開き、「解任」という最終判断を下した。契約は2026年北中米W杯本大会までとなっていたため、高額な違約金を払う必要もある(クリンスマン監督に約7億円+スタッフを含めると11億円ほどと言われている)。それでも、チームにメスを入れなければならないほど、韓国代表は「荒れていた」と言っても過言ではない。

引き金は絶対的支柱と新鋭の小競り合い

 本来、敗因の分析や監督解任の議論は、慎重に進めるものだ。しかし、クリンスマン監督の解任論が急転直下の展開となったのは、アジアカップのヨルダン戦前夜に起こった“内紛”が発端だったからだ。

 第一報を出したのは、ソン・フンミン(トッテナム)が活躍するイギリスの大衆紙『サン』である。

「ソン・フンミンはアジアカップで敗れた試合の前日、チームの同僚と争い、右手の指を脱臼した。主将のソン・フンミンは一部の若い選手たちが卓球をしようと夕食の席を早く立ち去ることに不満を抱いていた。言葉を交わしたあとに口論となったが、イ・ガンインもその中にいた」

 国内メディアはこの報道を引用する形で、続報を続けた。

 チームの絶対的支柱のソン・フンミン、いずれ代表を率いる立場になる後輩のイ・ガンイン(パリSG)という欧州ビッグクラブでプレーする2人を巻き込んだ小競り合い――。

 のちに、この時に“卓球”をしようとした選手は、イ・ガンインのほか、ソル・ヨンウとチョン・ウヨン(シュツットガルト)とも伝えられているが、ソンがケガするほどの取っ組み合いになる現場を想像するだけでも、世間に与えるインパクトは大きい。

【次ページ】 「イ・ガンインを試合に出さないでほしい」

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