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“ド派手な赤髪”で華麗なカムバック…女子バスケ吉田亜沙美(36歳)2度の引退決断から異例の復帰までの舞台裏「リュウさんがいて心強かった」
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byYoshio Kato/AFLO
posted2024/02/16 11:04
昨年、2度目の現役復帰を果たした吉田亜沙美(36歳)。4年ぶりの日本代表となったが、パリ五輪出場権の獲得に貢献した
「次の目標や夢が見つからなくて、モチベーションを保つことが難しくなってしまったんです。それに、(所属チームで)勝ち続けなければならない、勝つことが当たり前という中でプレーすることもしんどくなってしまって」
2019年3月、31歳の時に現役引退を決断し、コートを後にする。
恩塚HCの言葉「復帰すればいいんじゃない?」
勝負の世界でずっと生きてきたからこそ、刺激のない生活にもの足りなさを痛感した。引退はしたけれど、身体はまだ動く。根っからのバスケ好きの血が騒いだ。そんな時にアドバイスをくれたのは、日本女子代表HCで、当時はアシスタントコーチを務めた恩塚亨だった。
「復帰すればいいんじゃない?」
ためらいもあったが、自分の気持ちを尊重した。
「引退から半年も経ってないうちに、“またやります”なんて言えないなと最初は思っていました。覚悟を持って決断した引退なのに。でも、日が経つにつれて(バスケが)やりたいという気持ちの方が大きくなっていましたね」
引退発表から半年後の2019年9月、現役に復帰。見据えた目標は再び迎え入れてくれたチームの優勝に貢献すること、そして東京五輪出場。そして、東京五輪を最後に今度こそ引退する――そう、決めていた。しかし、コロナ禍によって東京五輪の開催が1年延期された。その時間は吉田に大きくのしかかった。