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「ユウタは素晴らしいチームメイト」サンズの誰もが渡邊雄太の成功を願っている…古巣への電撃トレードが“プラス”に働きそうな理由とは?
posted2024/02/11 11:03
text by
杉浦大介Daisuke Sugiura
photograph by
Alex Goodlett/Getty Images
NBAのトレード期限にあたる2月8日――。
フェニックス・サンズの本拠地フットプリントセンターに足を踏み入れると、渡邊雄太のロッカールームはすでに扉が閉められていた。チームの大黒柱ケビン・デュラントの隣で、いつも綺麗に整えられていた渡邊のロッカー。これまでとはガラリと変わった光景と、「ユウタはもうチームに帯同していない」というサンズ広報の言葉は、新陳代謝の激しいアメリカンスポーツの厳しさを改めて表しているかのようだった。
シーズン終盤に向けた追い込みを目論むサンズは8日、メンフィス・グリズリーズ、ブルックリン・ネッツとの3チームトレードでロイス・オニール、デイビッド・ロディの獲得を発表。その見返りとして、ケイタ・ベイツ・ジョップ、ジョーダン・グッドウィン、チメジー・メトゥ、そして渡邊の放出が決まった。
思い出した、トレード4日前の精悍な表情
昨年7月、2年500万ドルでサンズと契約した渡邊だったが、わずか7カ月間の在籍で古巣でもあるグリズリーズに移籍することになった。
「サンズは去年の僕の活躍を評価してくれて、いい条件の契約をくれ、自分を信じて獲ってくれたチーム。もちろんビジネスの世界なので何があるかわからないですし、トレードされたからといって、チームから嫌われていたとか、そういうわけでは一切ないと思いますけど、やっぱりここにいる以上、最後までやり切りたいという気持ちはあります」
トレード期限のわずか4日前、ワシントンDCで行われた2月4日のワシントン・ウィザーズ戦で、そう語っていた渡邊の精悍な表情が思い出される。
NBAでは移籍など日常茶飯事とはいえ、渡邊個人としてはトレードに含まれるのは29歳にして初めて。デュラント、デビン・ブッカー、ブラッドリー・ビールという“ビッグ3”に率いられ、現在31勝21敗と上昇気配のサンズでのプレーにやり甲斐を見出していただけに、志半ばでの移籍に悔しい気持ちは少なからずあるはずだ。
ただ、最近の渡邊の起用法を見れば、ここでトレードに含まれたことは驚きではなかった。