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「高校で陸上はやめようと思っていた」マラソンランナー・前田彩里が振り返る「普通の学生生活を送りたかった」女子高生が陸上を続けた理由
text by
佐藤俊Shun Sato
photograph byNanae Suzuki
posted2024/02/18 17:00
小学校まではバスケ部。家族の影響で中学から陸上を始めたという前田彩里。ダイハツに入社するまでのキャリアを振り返ってもらった
大学では、普通の学生生活を送りたい。でも…
陸上で大きな転機が訪れたのは、高2の時だった。2009年3月、アジアクロスカントリー選手権に出場する日本代表選手に選出された。
「海外(バーレーン)に誰も付いて来てくれなくて、ひとりで行ったんですけど、強い人と一緒にいることで陸上の新しい世界を知りました。この経験は大きかったです。実は、高校で陸上はもうやめようと思っていたんです。大学では、普通の大学生活を送りたいと思っていたので……。でも、日本代表として世界にいって、刺激を受けて、私ももっとやってみようかなという気持ちになりました」
2008年12月の第20回全国高校女子駅伝では1区5位と好走しており、その勢いでアジアクロカンのジュニア女子5.7kmで個人5位に入賞して自信がついた。その際に出会った代表選手の多くが実業団で走っていたため、当初は大学進学ではなく、実業団入りを考えた。
両親から反対された実業団入り
だが、両親からは大学進学を勧められた。
「両親は、今は実業団で走りたいのかもしれないけど、私の陸上を続けたいという気持ちがどこまで真剣なのか、分からなかったんでしょうね。それに、たぶん実業団では厳しいと思っていたと思うんです。それで、大学4年間やってみて、それでもやりたいなら実業団に行けばいいと言われました。私もそうだなって思って、大学進学を決めたんです」
全日本大学女子駅伝を3連覇した立命館大など多くの強豪大学から誘いがあったが、その中で佛教大に決めた。決め手は何だったのか。