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「イタリアに来てよかった?」渡欧から4カ月、初の海外生活で奮闘する女子バレー石川真佑(23歳)に期待したい“巻き込む力”とは
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2024/02/14 11:01
昨秋からイタリアでプレーする石川真佑。少しずつ手応えを掴み始めている
「やっぱりプロバレーボール選手として、発信していかなきゃいけないなと。いろんな方が見てくれて、周りの評価やいろんな意見があると思うんですけど、自分が頑張っている姿だったり、挑戦しているところを見せるのは一つ必要なことだなと思って。いろんな選手がいろんな発信をして、バレー界を盛り上げようと取り組んでいるのを見て、そこに私も加わるというか、一緒に発信していけたらいいかなと思っています」
プロの自覚と視野の広がりをうかがわせる。
プレーの成長も目覚ましい。
試合前、両チームの選手がコートに一列に整列すると、石川の小柄さは際立つ。フィレンツェのスパイカー陣は174cmの石川を除けば185cm以上の長身選手ばかり。その中で石川は開幕からスタメンを張り、たびたびチーム最多得点を叩き出してきた。
日常に求めた“世界の高さ”
相手チームにも高いブロックが揃うが、それこそ石川が求めていた環境だ。昨年9月、パリ五輪予選を終えてイタリアに渡る前、こう語っていた。
「海外の選手相手に、高さとパワーをすごく経験できると思うので、それを自分の力につなげたい。Vリーグは日本の選手がほとんどで、高さだったりパワーというのは代表でしか感じられないことでしたが、今年は代表で本当にいい経験をして、それが海外のリーグでも継続できる。海外に行ったらそれ(高さやパワー)を常に意識できるので、そこは国内とまったく違うところかなと感じます」
その環境の中で、スパイクをブロックの指先に当てて飛ばしたり、多彩なプッシュを巧みに使うなど得点を奪う選択肢が増えた。
フィレンツェを視察した日本代表の川北元コーチも、「ブロックの指先を狙って奥に飛ばしたスパイクがありましたが、ああいう決め方ができるようになったのはすごくいい。日本ではなかなか練習できない、相手に高さがないと身につけられない技術ですから」と石川の変化に顔をほころばせた。
石川自身も手応えをにじませる。
「高さはやっぱり違いますし、今まで決まっていたスパイクが決まらなかったりする中で、ブロックを利用して点を取ることはすごく大事だなと感じます。高いブロックに対して、代表では被ブロックが多かったので、それは自分がやらなきゃいけないこと。ブロックアウトを狙うこともそうですし、代表の時も感じましたが、プッシュは混ぜていかないと難しい。このリーグでそれを経験できるのはすごく大きいと思います」