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「イタリアに来てよかった?」渡欧から4カ月、初の海外生活で奮闘する女子バレー石川真佑(23歳)に期待したい“巻き込む力”とは
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byNoriko Yonemushi
posted2024/02/14 11:01
昨秋からイタリアでプレーする石川真佑。少しずつ手応えを掴み始めている
ラリー中、素早くレフトに開いて大声でトスを呼ぶ。
試合後、何と言って呼んでいるのかと聞くと、「スーパー」だと教えてくれた。
「日本で言うと『突け』なんですが、速いトスが欲しい時は『スーパー』と呼んでいます。ハイボールが欲しい時は、イタリア語で“高い”が“alto(アルト)”なので、『アルター』と呼びます。最初は間違えることもありましたけど(苦笑)、やっていく中で慣れていきました。言葉的にはやっぱり難しい部分もありますけど、単語は少しずつ覚えていけているので、そこはもっとやっていきたいなと思っています」
チーム内ではイタリア語と英語が使われているが、石川は「やっぱりイタリア語がメインになってくるので、できるだけ自分も覚えて、使っていけるようにしていきたい」とイタリア語の習得に努めている。
最初は週に何回か、ミーティングの時などに現地在住の日本人に通訳をお願いしていたが、今は回数を減らしている。
「4カ月が経っていく中で、私自身自立というか、自分でやっていかなきゃいけないと思って」
自分を出したい…でも伝えられないもどかしさ
ただ、イタリア語はほぼゼロからのスタートで、簡単なことではない。中学1年生で愛知県の親元を離れて長野県の裾花中学に進学した経験もあり、「今までも1人でやってきている部分はあるので、ホームシックは基本ない」と言うが、海外でのコミュニケーションの難しさは痛感している。また、日本人選手が海外に出ると必ず直面することだが、海外の選手の自己主張の強さにも面食らった。
「海外の選手は本当にオープンというか、思ったことはしっかりストレートに伝えるし、言わなきゃわからない部分は多い。自分もすごく言われますけど、それに対して自分も発信していかなきゃいけない。まだ難しいところはありますけど、本当に自分自身を出していかないと難しいなと感じています」
例えばポジショニングのことなど、「そこじゃないよ」「こうして」と言われた時に、石川なりの考えや理由があってそこにいたとしても、それをうまく伝えられない。言われっぱなしで言い返せない、意図を伝えられないもどかしさは常につきまとう。