沸騰! 日本サラブ列島BACK NUMBER
武豊が惚れ込んだ“消えた天才”…あの超良血馬はなぜ勝てなくなったのか?「エアグルーヴにそっくりな弟」が地方競馬で迎えた“悲しい結末”
text by
島田明宏Akihiro Shimada
photograph bySankei Shimbun
posted2024/02/13 11:00
2002年、若駒ステークスで無傷の3連勝を決めたモノポライザー。武豊が惚れ込んだ超良血馬には、輝かしい未来が待っているはずだった
後藤が乗ったモノポライザーは皐月賞で3番人気に支持されたが、後方から伸び切れず、16着と大敗した。
翌週、実戦に復帰した武は、まさかモノポライザーがダービーの出走権が獲れる4着までに入らないとは思っていなかったという。
「橋口先生も敗因がわからず、どうしても納得できないので、プリンシパルステークスに乗って、大丈夫なのか、それともどこか悪いところがあるのか、前に乗ったときと同じか違うかを確かめてほしい、と」
そのうえで橋口は、「ダービーに関してほかに騎乗馬がいるなら、騎手はその時点でいいと思ったほうに乗らなくてはいけない」と言ったという。武はこうつづけた。
「ダービーには、モノポライザーかタニノギムレットのどちらかで出ると思います。どちらが強いのかはわかりません。おそらく、どちらもGⅠホースになると思いますけどね」
「あんなもんじゃないですよ」完全復活には至らず
断然の1番人気に支持されたプリンシパルステークス。その直線で、武は初めてモノポライザーにステッキを入れた。しかし、内のマチカネアカツキを競り落とすことができず、外から来たメガスターダムにかわされ、3着に敗れた。勝ったメガスターダムは、モノポライザーが2戦目の500万下で2着に負かした馬だったが、逆転を許してしまった。
武は5月26日の第69回日本ダービーでタニノギムレットの手綱をとり、ダービー3勝目をマークした。後藤が騎乗したモノポライザーは14着に終わった。
モノポライザーは、次走、武が騎乗したポートアイランドステークスで、のちに重賞を勝つメイショウラムセスを鼻差で差し切り、若駒ステークス以来の4勝目を挙げた。
しかし、つづくスワンステークスは5着、マイルチャンピオンシップはトウカイポイントの8着だった。
「復活はまだでしたね。ぜんぜん本領を発揮していない。あんなもんじゃないですよ」
武はそう話した。なぜ走らないのか、原因はつかみ切れていないようだった。