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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「監督からは『実業団で頑張ってくれ』と言われて」…駒大4年・白鳥哲汰が語る“箱根駅伝、当日変更の苦しさ”「誰にも返事が返せませんでした」
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph byYuki Suenaga
posted2024/02/11 11:01
この3月で駒大を卒業する白鳥哲汰は実業団のトヨタ紡織へ。苦しかった大学4年間を糧に、社会人での飛躍を誓う
16人のエントリーメンバー入りは果たしたものの、誰がどの区間を走るかは12月末になるまでわからなかったという。
「今回は直前まで情報が共有されなくて、そのちょっと前に噂が立ったんですよ。なんか自分が外れそうだって、誰かが言ってて。自分はなんとなく1区を走るものだと思って準備していたんですけど、復路に回る可能性もあるのかなって……」
区間エントリーは12月29日に発表された。白鳥は1区に登録されたが、往路、復路共にレース当日朝までの区間変更が可能で、ライバル校の動向を測ったり、選手の体調を見極めるために、各大学があえて本命ではない選手を登録させることがある。
区間エントリーで1区に登録も…暗転した事態
監督に告げられないままの1区登録だったが、本人はもちろん走る気でいた。
ライバルである青学大の原晋監督も「1区にエントリーされているくらいだから、白鳥君はそうとう調子が良いんでしょう」と警戒するほどだった。
事態が暗転したのは、その翌日である。
「朝練習の後に監督に呼ばれて、『1区には入っているけど、走らないからね』って。『交代するのは篠原(倖太朗・3年)だから』と言われました」
悔しさがよみがえるのか、白鳥が思わず語気を強める。
「一番悔しかったのは、その時に『実業団で頑張ってくれよ』と言われたこと。おそらく藤田さんも気を遣ってくれたんだと思うんですけど、1年かけて箱根のために準備してきて、そこで実業団の話をされるのもちょっと悔しいなって。それこそ上尾で自分に負けた選手が選ばれているので、その理由が聞きたかったです」
白鳥の立場を思えば、その気持ちもよくわかる。
これほど充実した戦力を擁す駒大でなければ、上尾ハーフで2分台前半をだした選手が外れることはなかっただろう。これは白鳥も認めるところだが、下級生で出場した際の箱根の成績や、アベレージとしての貢献度がやや足りなかったのかもしれない。
外れた選手は、その直後からチームのサポートに回る。