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箱根駅伝PRESSBACK NUMBER
「監督からは『実業団で頑張ってくれ』と言われて」…駒大4年・白鳥哲汰が語る“箱根駅伝、当日変更の苦しさ”「誰にも返事が返せませんでした」
posted2024/02/11 11:01
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph by
Yuki Suenaga
年始の箱根駅伝で、青学大に敗れたものの戦前は“一強”とまで言われ、圧倒的な優勝候補だった駒大。その評判の裏にあったのは、分厚い選手層だ。有力ランナーが多いほど、実力者でも檜舞台を逃すケースは増えていく。そんな熾烈なメンバー争いに挑んだ4年生の白鳥哲汰は、昨年11月に最後の選考レースである上尾ハーフに挑んだ。彼が過ごした最後の箱根路への日々とは――。(全2回の2回目/1回目から読む)
他大学のエース級も数多く顔を揃えた上尾ハーフで、白鳥は1時間2分14秒の好タイムで7位入賞を果たす。
山梨学院大のブライアン・キピエゴ(1年)や早稲田大記録を作った山口智規(2年)らには敗れたものの、チーム内でトップの成績だった。レース後に充実した表情を見せたのも無理からぬことだっただろう。
「前半誰も出なかったので、安原(太陽・駒大4年)と一緒に交代で引っ張って、後半少し落ちましたけど、わりと自分で作れたレースだったんです。他大学の選手に負けていたので、監督たちからはねぎらいの言葉とかはなかったですけど、自分の中では良かったかなって。駒澤の中で1位だったので、箱根はもう間違いないと思いました」
内容を評価するのか、結果にこだわるのか…選考レースの難しさ
だが、首脳陣の見方は少し違ったようだ。
試合後に、藤田監督がこんな話をしていたのを思い出す。
「上尾はある程度タイムが出るのはわかっているので、やはり勝負ですね。14km付近で山口君が飛び出したときに付けなくて、その後に法政大の2人にも先行を許したところがもったいなかった。出雲、全日本とああいう戦い方(一度もトップを譲らず完勝)をして、今の駒澤大は強さを見せないといけない立場にある。他大学に負けないことで、駅伝で競った時にもそう思えるんです。それが上尾でできなかったのは少し残念ですね」
内容を評価するか、結果にこだわるか。微妙な考え方の違いが、後の悲劇を生んだような気がしてならない。
箱根出場を待ち望む白鳥のもとに、監督からの指名の声はなかなか届かなかった。