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やはり別格だった三笘薫、それでもうつむき加減で「まだまだ全然ですね」…復帰を遂げた“脅威のドリブラー”はなぜ反省の言葉を口にしたのか
text by
戸塚啓Kei Totsuka
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/02/01 17:02
ラウンド16で待望のアジアカップ初出場を果たした三笘薫。復帰初戦から切れ味鋭いドリブルでバーレーンの守備陣を翻弄した
コンディションについて問われると、「いや、まだまだ全然ですね」と間を置かずに答えた。らしさを感じさせるドリブルはあったものの、まだ全開でない。
「リードした展開だからこそできたプレーもあると思うので、次はもっと厳しくなる」
「僕はここからプレーで見せないといけない」
日本代表でプレーするのは、昨年9月のドイツ戦以来だった。実に9試合の空白が横たわっていたことも踏まえれば、バーレーン戦の30数分は準々決勝への助走となるだろう。
三笘も静かに頷く。
「自分のコンディションを確かめたいというのもありましたし、そういう状況で出してくれたチームメイトに感謝ですけど、そのなかでドリブルのフィーリングだったり、芝の感触だったりを確かめられました。次の試合に向けてもいい準備にはなりました」
歯がゆさを覚えながらも孜々としてリハビリに取り組んできたのは、ノックアウトステージでチームに貢献するために他ならない。アジアの頂点を懸けたサバイバルは、いよいよ本格化していく。
「僕はここからプレーで見せないといけないですし、ボールを持ったときに時間を作ったり、違いを見せたり、突破することが求められる。次の相手は(バーレーン戦より)もう少しボールポゼッションできないとは思いますし、そういうなかで時間を作ったり、ひとりでやり切る力を求められるので、そこは準備したいと思います」
準々決勝のイラン戦は、バーレーン戦よりアウェイ感が強くなる。野太い声をあげる相手チームのサポーターを黙らせ、ピッチの色を塗り替え、勝利を手繰り寄せるプレーは、誰にでもできるものではない。
三笘の帰還は、だから、とてつもなく大きい。