スーパーレック、そして武尊の今後は…

　決戦前日の公開計量時、スーパーレックは「まだ自分のことを知らない人が多いと思うが、日曜日になったら必ず知ることになる」と予告していた。キック界のスターである武尊を相手にタイトルを防衛したことで、その名は間違いなく日本のファンに知れ渡ったはずだ。

試合前日の公開計量の様子　©Koji Fuse

　振り返ってみれば、ロッタンとの一戦では相手のタテヒジで大流血するピンチに見舞われながら判定で逆転勝利を収めた。そして今回も、3ラウンドの劣勢を跳ね返して武尊の挑戦を退けた。スーパーレックにその気は全くないだろうが、結果的に対戦相手のいいところを引き出している。王者の“わかりにくそうで実はわかりやすいムエタイ”は、日本でも受け入れられるのではないか。

　今後、ONEは立ち技のフライ級戦線についてスーパーレック、ロッタン、武尊の三つ巴を軸にプロモートしていく意向を打ち出した。しかし、繰り返し王者のローキックを受けた代償は大きく、武尊の今後は未定のままだ。

　年間ベストバウト候補といってもいい激闘を制したことでスーパーレックの知名度がロッタンや武尊のそれと肩を並べる日は近いと思われるが、ONEの方針は軌道修正せざるをえまい。武尊の敵討ちとばかりに、打倒スーパーレックに名乗りを上げる日本人ファイターはいるのか。