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甲子園の風BACK NUMBER
まさかのドラフト“指名漏れ”真鍋慧がいま明かす「なぜ順位縛りを選んだ?」スカウトと面談、名前が呼ばれない当日…退席後の“ウラ話”
text by
井上幸太Kota Inoue
photograph byKota Inoue
posted2024/01/23 06:00
昨年のドラフト会議で無念の指名漏れを味わった広陵・真鍋慧
プロ志望届を提出した選手は、ドラフトまでに各球団のスカウトとの面談が許される。12球団から調査書の提出を求められた真鍋は、4球団との面談に臨んだ。
これまでの故障歴の有無など、調査書に記載する内容の深堀りが主だったが、ある球団は「どんな打者になりたいか」と尋ねたという。それに対する真鍋の回答は「本塁打が打てて、なおかつ打率が残せる打者」だった。
会議当日…「一応、4位までは見よう」
そうして10月26日を迎えた。多くのメディアが、会見場である広陵の校内の会議室に詰めかける。指名の瞬間をとらえようと、何台ものテレビカメラが真鍋と中井監督にはりついたが、歓喜の瞬間は訪れなかった。
念のため、設定した順位の一つ後の4位指名まで会議を見届けた後、会見場を退出した。真鍋が振り返る。
「指名が始まった後も、一喜一憂せず、淡々と見守れていたと思います。(4位指名まで確認したのは)中井先生から、『一応、4位までは見よう』と。引き上げた後すぐに『絶対4年後、見返してやれ』と言っていただきました」
その後、寮に戻って夕食を摂った後、グラウンドに隣接する室内練習場でティー打撃に励んだ。夕食のメニューやティー打撃のトスアップを買って出てくれた選手を「思い出せない」のは、切り替えていつも通りの日常を過ごしたからだろうか、それとも“心ここにあらず”だったからか――。回想する真鍋の横顔だけでは、判別できなかった。
〈つづく/「本人が語る“指名漏れ”その後」〉