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「今が一番いい!」南野拓実29歳が笑って懐かしむ“ハタチの誕生日”…アジア杯2発もスゴいが「不遇のカタールW杯」を独自視点で再評価
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byKiichi Matsumoto/JMPA
posted2024/01/17 17:40
カタールW杯の南野拓実。当時は「メーンキャスト」的な扱いを受けていなかったが、アジア杯での活躍を受けて今こそ再評価したい
カタールW杯のあと、3月、6月、9月と3度の代表活動の機会に招集されなかった南野は、昨年10月に代表に復帰してから、ポジティブな風を吹かせ続けている。それは2024年を迎え、カタールに入ってからも変わらない。
そして、1月16日、南野は29歳の誕生日をカタールで迎えた――。
2015年1月16日、20歳になった南野はミニバーで…
今から9年も前のことになる。
19歳で日本を離れた南野は、オーストリアについてほどなくして1月16日の20歳の誕生日を迎えた。当初はしばらくホテル暮らしだった。
プライベートの友人たちのSNSからは、成人式についての投稿があふれていた。それ以外に目立っていたのは、オーストラリアでアジアカップ2015を戦う日本代表に関するニュースだった。
2015年の1月16日。南野は一人、ホテルにあるミニバーに備え付けられているビールの栓をあけた。アスリートだし、お酒を飲むことが目的ではない。あれは自分なりの成人式だったかもしれない。
当時の南野は、“29歳”の選手の存在をこんな風にとらえていた。
「ものすごい年上に感じました。ベテランっていうか……。それを考えると、ちょっと自分も歳を取ったなと思いますけどね」
2024年1月16日、29歳になった今、笑ってそう振り返る。
「でも、自分のプレーは全然、歳を取っているとは思っていなくて。常に進化し続けたいですし……『今が一番良い!』と思えているので!」
《今が一番良い》
心からそう思えるようになったのは、1年2カ月前とは違うところ。
そのマインドセットによって進んでいるのが、南野ルネッサンスなのだ。
老いを感じるのは3年後ぐらいかなぁ。まだ20代なんで
「老いを感じるのは3年後ぐらいかなぁ。まだ20代なんで(笑)」
今はそんなジョークを飛ばすが、きっと3年後もまだ彼は「今が一番いい」と言っているのだろう。PKを外したという事実だけで総括できないほど自分の良さを出せなかったカタールW杯があり、その後に、長らく日本代表から遠ざかった時期があった。
苦しい時期を経た分だけ、南野は強くなった。それが今の南野がポジティブな風を吹かせている理由なのだ。
では、第1期森保ジャパンで主軸だった南野は、どんなストーリーを描いて再び第2期森保ジャパンで欠かせぬ存在へと舞い戻ったのか。ヒントは彼の自己認識にある。
「自分はチャレンジャーなんや!」
<つづきは第2回へ>